読売新聞2023年12月25日(月)
俳壇
正木ゆう子 選
きつと誰か共に見てゐる冬の星 (上尾市) 中野 博夫
・選者評:冬は一年で最も星がよく見える季節だ。寒さに衿(えり)を立てつつ、シリウス、オリオン座、昴(すばる)を仰ぐ時、きっと何処(どこ)かで同時に見上げている人がいる。出会うこともない誰か。
見舞いなくさよならもなく冬の月 (神戸市) 吉野 勝子
・作者は入院中でしょうか。見舞い客が来なければ、さよならすることもないですが、寂しさが募ります。
小澤實 選
冬晴や火星探査機の孤独 (瀬戸内市) 岡本 尚子
・火星探査機というと、キュリオシティやパーサヴィアランスを思い浮かべます。確かに、一台で動き回り、故障したら最期なので、「孤独」ですね。
毎日新聞2023年12月25日(月)
毎日俳壇賞2023年
水原紫苑 選
目を閉じて(ロシュ限界はもう既に壊されていて)口づけをした
(京都市) よだか
・選者評:よだかさんの一首は、新しい言葉によって人が星でもあるような世界が生まれている。
・ロシュ限界とは、ある天体に近づける限界の距離のことで、その内側では近づいた物体が主星の潮汐力によって破壊されてしまいます。
朝日新聞2023年12月24日(日)
俳壇
高山れおな 選
大阪から飛び込み続く冬銀河 (福岡市) 釋 蜩硯
・選者評:阪神優勝から1か月。道頓堀ならぬ冬銀河への飛び込みとは豪快。
毎日の12月8日分は買い損ね。
読売新聞2023年12月18日(月)
俳壇
矢島渚男 選
寒月を背に鶏を潰す父 (島根県) 重親 峡人
・鶏は「潰す」と「絞める」と両方ありますね。昔は農村部のどこでも見られた光景で、子どもの頃それを見て鶏肉が食べられなくなったという知人が何人もいます(^^;
正木ゆう子 選
冬の星天に答のあるごとく (足利市) 長 芳男
・選者評:理不尽なことに何故(なぜ)と問うても、答など容易にわかるはずもない。しかし天を仰げば答があるかも。本当に、そうも思いたくなるこの頃。
かなしくないかなしくないと冬の月 (神戸市) 吉野 勝子
・作者にとって悲しいことがあった日の晩のことでしょう。何度も何度も言い聞かせています。
朝日新聞2023年12月17日(日)
俳壇
小林貴子 選
半月やもう半分の恋しうて (佐倉市) 葛西 茂美
・選者評:半月に寄せる思いにハッとさせられる。
読売・毎日の12月11日分は買い損ね。
朝日新聞2023年12月10日(日)
歌壇
馬場あき子・永田和宏 選
新聞紙43回折ったなら月までとどくとしった秋の夜
(奈良市) 山添 聡介
・永田選者評:聡介君、ほんとだぜ、折ってみよう。
俳壇
大串章 選
星月夜酔ひて見知らぬ駅に立つ (宝塚市) 吉田 賢一
・選者評:植木等の「スーダラ節」(♪チョイト一杯のつもりで飲んで~)を思い出す。
高山れおな 選
天界に待つ人増えて冬銀河 (加古川市) 森木 史子
・知人が一人、二人と地上から減り、天界に移っていく寂しさ。果たして冬銀河を同じように眺めているのでしょうか。
小林貴子 選
紙の世はインキの匂ひ冬落暉 (あきる野市) 松宮 明香
・選者評:紙の手ざわりとインキの匂い。時代遅れと言わずこれからも楽しもう。
・今や「紙の世」が終わろうとしているのですね。辞書によれば、そもそもインキという言い方自体がインクの古い呼び方とのことですが、私の実家の印刷屋では印刷用はインキでした。落暉は落日、入り日のこと。
★ 昨日と今日1月7・8日、将棋第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第1局が、栃木県大田原市「ホテル花月」で行われ、116手で藤井聡太王将が挑戦者の菅井竜也八段に勝利しました。見事な藤井曲線を描く対局でした。新年も好スタートです。
★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス142
.i li’a la’e di’u ta’e fasnu ca lo nu citka lo titnanba
そりゃ確かに、普通はケーキを食べるとそうなります。
li’a : 明らかに。心態詞(談話系)UI3類。-> li’anai それとなく
ta’e : 習慣的に/いつものように。相制詞(時間・間隔)TAhE類
fasnu : 事/出来事/事件/事象/現象だ,x1は;起こる/生じる/発生する,x1は
主述語は fasnu 「起こる」で、そのx1が { la’e di’u } 「今言ったこと」です。
後ろから ca 「~するとき」が率いる間制節が掛かっています。
出典は、