アストロアーツ5月22日付記事、元は国立天文台です。
Ia型超新星からの電波を初検出 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)
概要>白色矮星が引き起こす超新星爆発であるIa型超新星で、電波が初めて観測された。また、この白色矮星の伴星がヘリウムに富む恒星だったことも明らかになった。
>太陽のような比較的軽い星が寿命を迎えると、外層のガスを放出して惑星状星雲を作り、核融合が止まった星の芯は非常に高密度の「白色矮星」となる。この白色矮星が大爆発を起こして星全体が吹き飛ぶ現象が、Ia型超新星だ。
超新星爆発には大別して2種類あります。
一つは、太陽質量の10倍以上の大質量星が進化の最後で重力崩壊により起こすものです。
もう一つは、白色矮星が何らかの原因で星全体が爆発するもので、その原因についてはすぐ後で出てきます。
後者がIa型超新星です。
>白色矮星は電子の縮退圧という力で自己重力を支えているが、何らかの原因で星の質量が増え、太陽質量の約1.4倍を超えると、自己重力を支えられなくなって収縮し、暴走的な核融合反応が起こって爆発する。爆発直前の質量がどれも同じで、爆発後のピーク光度もほぼ同じと考えられることから、遠い天体までの距離を測る重要な指標として使われ、宇宙の加速膨張が発見されるきっかけにもなった。だが、そもそもなぜ白色矮星の質量が増えるのかについては今も議論があり、決着していない。
少し補足します。
「電子の縮退圧」は量子論的な力です。
「太陽質量の約1.4倍」は、初めて理論的にこの値を求めたインド出身の天文学者の名前をとって「チャンドラセカール限界」と呼ばれます。
大質量星が最後に重力崩壊で爆発する場合には、その質量はさまざまです。
これに対して、白色矮星の全体が爆発するIa型超新星の場合には、爆発前の状態も爆発のし方も似通っていることから、標準光源(standard candle)として宇宙論における距離の測定のために不可欠となっています。
>白色矮星の質量が増える原因としては、白色矮星が普通の星と連星になっていて、普通の星から白色矮星にガスが流れ込んで降り積もるというモデルと、2個の白色矮星からなる連星が合体するというモデルがある。
「今も議論があり、決着していない」と言っていますが、
次の記事で紹介した研究によると、太陽系近傍における元素組成比からは連星系モデルの方がIa型超新星の75%以上を占めるとされます。
Ia型超新星の起源決着 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
>前者の場合、普通の星の多くは水素の外層を持っているので、白色矮星に降り積もる物質も水素が主成分になる。しかし、伴星がすでに水素の外層を失った「ヘリウム星」の場合には、降着する物質はヘリウムが主成分になるはずだ。ただし今のところ、ヘリウム星が引き起こしたIa型超新星の観測例はない。
連星系を構成する星の進化は、相互作用により複雑になります。
伴星が水素の外層を失った「ヘリウム星」になることもあり得ます。
ただ、これまでは「ヘリウム星が引き起こしたIa型超新星の観測例はない」のですね。
>伴星から流れ出した物質は、全てが白色矮星に降り積もるのではなく、両方の星を包む「星周物質」になると考えられる。星周物質の中で白色矮星が超新星爆発を起こすと、星周物質の内部を衝撃波が伝わり、強い電波が放射されると予想されている。だが、これまでの観測では星周物質に包まれたIa型超新星の例はたくさん見つかっているものの、爆発で生じた電波放射が検出されたことはなかった。
両方の星を包む「星周物質」というのは、ロッシュローブの内部を満たしていると考えられます。
これについては次の記事が参考になると思います。
連星系とロッシュローブの話 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
>スウェーデン・ストックホルム大学のErik Koolさんたちの研究チームは、2020年3月23日におおぐま座の方向で発見された超新星「SN 2020eyj」を様々な望遠鏡で追観測し、そのデータを分析した。
>爆発直後のスペクトルからSN 2020eyjはIa型超新星に分類されたが、その後の光度変化が普通のIa型とは異なっていたことから、研究チームでは爆発から131日後にも分光観測を行った。その結果、この超新星がヘリウムを主成分とする星周物質に包まれていることが明らかになった。
先にIa型超新星は均質だと書きましたが、実は一部には異質なものも含まれていて、遠方宇宙の距離測定のためにはそれらを識別して除去することが必要です。
そのためにはまず、異質なものについてその性質を知らなければなりません。
>さらに、研究チームは英・ジョドレルバンク天文台の電波望遠鏡アレイ「e-MERLIN」でSN 2020eyjを観測し、この超新星からの電波を検出した。Ia型超新星で電波が検出されたのはこれが初めてだ。この電波は超新星爆発の衝撃波が星周物質と相互作用した証拠となる。電波の強さを理論と比較したところ、爆発前の白色矮星には1年あたり太陽質量の0.1%という大量の物質が伴星から降り積もっていたと見積もられた。
「Ia型超新星で電波が検出されたのはこれが初めて」なのですか。
これは知りませんでした。
>これらの観測結果から、研究チームではSN 2020eyjを、ヘリウム星からの質量降着で引き起こされたIa型超新星だと結論づけた。謎に包まれているIa型超新星のメカニズムを解明する上で大きな手がかりとなる発見だ。研究チームでは今後も電波を放つIa型超新星を捜索し、白色矮星が爆発に至る道筋を解明することを目指している。
「1年あたり太陽質量の0.1%という大量の物質が伴星から降り積もっていた」ことから、「ヘリウム星からの質量降着で引き起こされたIa型超新星」だと結論付けられる理由が分かりません。
いずれにしろ、変わり種のIa型超新星の正体を明らかにするという重要な課題で、一歩前進したのですね。
★ 本日6月21日は、1年で最も昼の時間が長い夏至(五月中)です。暑さの方はこれからさらに厳しくなり、二十四節気の小暑(六月節)、大暑(六月中)と続きます。
★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス55
.i .ei mi na te preti .i la’a cu’i mi viska lo nu ba’o ciska lo cmene da li’u»
だめだめ、そんなこと聞いちゃ。どこかに書いてあるのが見つかるかもしれない」
preti : 質問/質疑だ,x1(文字列)は x2(題目)に関する x3(者)から x4(者)への。-ret-, -rei-
la’a : 蓋然性。「ありそう」心態詞(談話系)UI3類 <- lakne あり得る/蓋然的
viska : 視覚する,x1は x2を x3(状態条件)のもと;見える,x1に x2が;x1には 視覚能力/光学的感知能力がある。-vis-, -vi’a- x3は空間の明かりや背景など。x1には光や色を感知するカメラなども
ba’o : 完了/事後「すでにし終わっている」。相制詞ZAhO類。
ciska : 書く,x1は x2(文字列)を x3(媒体)に x4(道具)で。-ci’a-
cmene : 名称だ,x1(文字列)は x2の x3(者)による;x3は x2をx1と呼ぶ;x2は x1と 呼ばれている。-cme-, -me’e-
2つの文からなり、最初の文は「私は聞くつもりはない」です。
第2の文は、心態詞 la’acu'i 「~するかもしれない」で始まります。
主述語は viska 「見る」で、そのx1は mi 、x2が抽象節 { lo nu ba’o ciska lo cmene da } です。
抽象節内の主述語は { ba’o ciska } 「書いてある」で、そのx1は省略されており、x2(文字列)が { lo cmene } 「(国の)名称」、x3(媒体)が da 「どこか/何か」です。
最後の引用終止詞 li’u に対応する引用開始 lu が見つかりません。
出典は、