準正多面体の連続量2 | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 準正多面体の連続量1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

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 立方8面体と20・12面体について、具体的な値を求めます。

 まず両者に共通する数値です。

 稜の中点と頂点の距離は

   O1P1 = P0P1 = 1/2 = 0.5.

 正3角形の面心と頂点の距離は、 

  O1P2 = P0P2 = √3/3 ≒ 0.577.

 正3角形の稜の中点と面心の距離は

   P1P2 = √3/6 ≒ 0.289.

 

 立方8面体について。

 p=4なので、

   cos(π/4) = √2/2.

   sin(π/4) = √2/2.

   tan(π/4) = 1.

   sin(π/h43) = √(3/4-cos2(π/4))

         = 1/2.

 

 頂点と正方形の面心の距離は、

   P0O2 = O1O2= 1/ 2sin(π/4) = √2/2 ≒ 0.707.

 稜の中点と正方形の面心の距離は、

   P1O2 = 1/ 2tan(π/4) = 1/2 = 0.5.

 外接球半径は、

   O1O3 = 1/ 2sin(π/h43) = 1.

 内接球半径1は、

   O2O3 = 1/ 4sin(π/4) sin(π/h43) = √2/2 ≒ 0.707.

 中接球半径は、

   P1O3 = (1/2) √(1/sin(π/h43) 2-1) = √3/2 ≒ 0.866.

 内接球半径2は、

   P2O3 = √(1/ 4 sin2 (π/h43) -1/3) = √6/3 ≒ 0.816.

 

 20・12面体について。

 p=5なので、

   cos(π/5) = (1+√5)/4.

   sin(π/5) = √2 √(5-√5)/4.

   tan(π/5) = √2 (√5-1) √(5-√5) /4.

   sin(π/h53) = √(3/4-cos2(π/5)) = (√5-1)/4.

 

 頂点と正5角形の面心の距離は、

   P0O2 = O1O2= 1/ 2sin(π/5)

    = √10 √(5+√5)/10 ≒ 0.851.

 稜の中点と正5角形の面心の距離は、

   P1O2 = 1/ 2tan(π/5)

    = √10 (3+√5) √(5-√5) /40 ≒ 0.688.

 外接球半径は、

   O1O3 = 1/ 2sin(π/h53)

    = (1+√5)/2 ≒ 1.618.

 中接球半径は、

   P1O3 = (1/2) √(1/sin2 (π/h53) -1)

    = √(5+2√5) /2 ≒ 1.539.

 内接球半径1は、

   O2O3 = 1/ 4sin(π/5) sin(π/h53)

    = √10 (1+√5) √(5+√5)/20 ≒ 1.376.

 内接球半径2は、

   P2O3 = √(1/ 4sin2 (π/h53) -1/3)

    =√3 (3+√5) /6 ≒ 1.512.

 

 内接球というのは内側から接するという意味なので、本来は正p角形の面で接する内接球半径1のみのはずですが、正多面体の場合は「面に接する」という意味もあるので、正3角形の面で接する内接球半径2も載せておきます。

 どちらの準正多面体でも、各球半径の大小関係は

   内接球半径1 < 内接球半径2 < 中接球半径 < 外接球半径

 となっていることをご確認ください。

 

 

  2.準正多面体の諸角度

 

 準正多面体の角度として重要なのは、二面角と体心から稜を見込む角の2つです。

 ただ、それ以外の角度も、将来、斜方準正多面体2種類や切頂準正多面体2種類の連続量を求めるときに必要となる(かもしれない)ので求めておきます。

 なお、このブログでは、コサイン cos の逆関数の表記として arccos を採用します。

 

 基本単体において、O1=P0,P1,O2,P2 が構成する稜を、体心O3から見込む角は次の通り。

   ∠O1O3P1 = arccos(P1O3/O1O3).

   ∠O1O3O2 = arccos(O2O3/O1O3).

   ∠P1O3O2 = arccos(O2O3/P1O3).

   ∠O1O3P2 = arccos(P2O3/O1O3).

   ∠P1O3P2 = arccos(P2O3/P1O3).

 これら以外の角は、準正多面体の表面を構成する正多角形に関わるものです。

 

 上で挙げた角たちは、次の大小関係をみたします。

   ∠O1O3P1 < ∠O1O3O2, ∠O1O3P1 < ∠O1O3P2,

   ∠P1O3O2 < ∠O1O3O2, ∠P1O3P2 < ∠O1O3P2.

 「直角3角形の斜辺は、他の2辺のそれぞれより長い」

 「より長い線分を見込む角の方が大きい」

 

 体心から稜を見込む角は

   2∠O1O3P1

 二面角は、向かい合う2角が直角である4角形P1O2O3P2の直角以外の頂角なので、

   ∠O2P1P2 = π-∠O2O3P2 = π-∠P1O3O2-∠P1O3P2.

 

 立方8面体では、

   ∠O1O3P1 = arccos(√3/2/1) = π/6 = 30°.

   ∠O1O3O2 = arccos(√2/2/1) = π/4 = 45°.

   ∠P1O3O2 = arccos(√2/2/√3/2) ≒ 35.264°.

   ∠O1O3P2 = arccos(√6/3/1) ≒ 35.264°.

   ∠P1O3P2 = arccos(√6/3/√3/2) = arccos(2√2/3) ≒ 19.471°.

 

 体心から稜を見込む角は

   2∠O1O3P1 = 60°.

 この角度は、立方8面体の赤道多角形が正6角形であることからも得ることができます。

   360°/6 = 60°.

 二面角は

   ∠O2P1P2 = π-∠O2O3P2 = π-∠P1O3O2-∠P1O3P2

    ≒ 180°-35.264°-19.471°= 125.265°.

 切頂8面体、切頂立方体、切頂立方8面体は、2種類あるいは3種類の二面角をもちますが、そのうちの1種類は立方8面体の二面角に等しいです。

 

 20・12面体では、

   ∠O1O3P1 = arccos((√(5+2√5)/2)/((1+√5)/2))

         = arccos((√5-1) √(5+2√5)/4)

         = π/10 = 18°.

   ∠O1O3O2 = arccos(√10 (1+√5) √(5+√5)/20 /((1+√5)/2))

         = arccos(√10 √(5+√5)/10) ≒ 31.717°.

   ∠P1O3O2 = arccos(√10 (1+√5) √(5+√5)/20/√(5+2√5)/2)

         = arccos(2√5/5) ≒ 26.565°.

   ∠O1O3P2 = arccos(√3 (3+√5) /6 / ((1+√5)/2))

         = arccos(√3 (1+√5)/6) ≒ 20.905°.

   ∠P1O3P2 = arccos(√3 (3+√5)/6/√(5+2√5)/2)

         = arccos(√3 (5-√5) √(5+2√5)/15) ≒ 10.812°.

   ∠O2O3P2 = ∠P1O3O2+∠P1O3P2.

 体心から稜を見込む角は

   2∠O1O3P1 = 36°.

 この角度は、20・12面体の赤道多角形が正10角形であることからも得ることができます。

   360°/10 = 36°.

 二面角は

   ∠O2P1P2 = π-∠O2O3P2 = π-∠P1O3O2-∠P1O3P2

    ≒ 180°-10.812°-26.565°= 142.623°.

 切頂20面体、切頂12面体、切頂20・12面体は、2種類あるいは3種類の二面角をもちますが、そのうちの1種類は20・12面体の二面角に等しいです。

 

 

  3.準正多面体の体積と表面積

 

 準正多面体の体積Vを求める式は次の通りです。

   V = (O1P1・P1O2・O2O3/6 + O1P1・P1P2・P2O3/6)×B

    = (P1O2・O2O3+P1P2・P2O3)・O1P1・B/6.

 準正多面体の表面積Sを求める式は次の通りです。

   S = (O1P1・P1O2/2 + O1P1・P1P2/2)×B

    = (P1O2+P1P2)・O1P1・B/2.

 

 立方8面体では、

   O1P1=1/2, P1O2=1/2, O2O3=√2/2,

   P1P2=√3/6, P2O3=√6/3, B = 48.

 したがって、

   V = (√2/4+√2/6)・48/12 = 5√2 /3 ≒ 2.357.

   S = (3+√3)/6・12 = 2(3+√3) ≒ 9.464.

 

 20・12面体では、

   O1P1=1/2, P1O2=√10 (3+√5) √(5-√5) /40,

   O2O3=(3+√5) (5+√5) √(3-√5) √(5-√5)/40,

   P1P2=√3/6, P2O3=√6 √(7+3√5) /6,

   B = 120.

 したがって、

   V = ((√10 (3+√5) √(5-√5) /40) ((3+√5) (5+√5) √(3-√5) √(5-√5)/40)+(√3/6) (√6 √(7+3√5) /6))・(1/2)・120/6

    = (45+17√5)/6 ≒ 13.836.

   S = (√10 (3+√5) √(5-√5)/40+√3/6)(1/2)120/2

    = 3 (√2 (5+3√5) √(5-√5)/4 +5√3

    = 5√3 +3√(25+10√5) ≒ 29.306.

 (20・12面体のSの式の最後の変形が自力では上手くできませんでした。値が等しくなることはエクセルで簡単に計算できるのですが。)

 

 

  4.まとめ

 

 最後に、これまでの内容を例によって表の形でまとめておきます。

 連続量だけでなく離散量も載せます。

   準正多面体の諸量

  名称       立方8面体  20・12面体 

 頂点構成記号     [3434]    [3535]

 N0 頂点数       12      30

 N1 稜の数       24      60

 N2 面の数       8+6     20+12

 B 基本単体の数    48+48    120+120

 O1P1 稜長/2         0.5

 O1O2 頂点と面心1  0.707     0.851

 O1P2 頂点と面心2      0.577

 P1O2 稜の中点と面心1 0.5     0.688

 P1P2 稜の中点と面心2    0.289

 O1O3 外接球半径    1      1.618

 P1O3 中接球半径   0.866     1.539

 O2O3 内接球半径1  0.707     1.376

 P2O3 内接球半径2  0.816     1.512

 体心から稜を見込む角  60°     36°

 二面角        125.265°   142.623°

 V 体積        2.357     13.836

 S 表面積       9.464     29.306

 (注) 面と基本単体は2種類ずつあるため、正3角形、正p角形の順でそれぞれの数を載せた。

 

 ついでに、最近このブログお得意の配置行列も載せておきます。

 配置行列の対角要素 Nii=Ni は多面体が含むi次元図形の数を表し、それ以外のij要素 Nij はi次元図形が接するj次元図形の数を表します。

 次の関係式が成り立ちます。面が2種類あるので、関係式は5本となります。

   Ni Nij = Nj Nji .

 

  立方8面体 [3434]     20・12面体 [3535]

   [ 12  4  2+2 ]    [ 30   4  2+2 ]

   [ 2  24  1+1 ]    [ 2   60  1+1 ]

   [ 3|4 3|4 8+6 ]    [ 3|5 3|5 20+12 ]

 

 次は、20・12面体の関係式です。

 頂点と稜 30×4=2×60=120.

 頂点と面 30×2=3×20=60,30×2=5×12=60.

 稜と面  60×1=3×20=60,60×1=5×12=60.

 

 今回はこれで終わりです。次は切頂多面体の連続量について同様の計算を示したいと思いますが、いつになるかは分かりません。

 

 多面体など幾何の連載一覧 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 

 

 ★ 本日11月20日(日)、将棋JT杯決勝戦が行われ、藤井聡太竜王が斎藤慎太郎八段に勝利しました。おめでとうございます! 藤井竜王のJT杯優勝は初めてです。また、JT杯優勝の最年少記録を塗り替えたことになります。

 

 ★★ 今日のロジバン

 「私の配偶者は女ではありません」 という文章をロジバンでどう表現するか。

 (1) na ku le mi speni cu ninmu

 (2) le mi speni cu na ninmu

 (3) le mi speni cu na’e / to’e ninmu

 (4) le mi speni cu no’e ninmu

 na’e : 段階否定「~以外の/ではなく」。段階詞NAhE類。-nal-

 to’e : 段階反対。述語の前に付いて、反対の意味に変換する。段階詞NAhE類。例:愛する→憎む。-tol-, -to’e-

 no’e : 段階中間。述語の前に付いて、中立的な意味に変換する。段階詞NAhE類。-nor-, -no’e-

 

 (1)と(2)はどちらも命題否定 na を使っていて、同じ意味です。

 主述語の直前に置くときは単独、文頭に置くときは ku と組み合わせます。

 この文は、私の妻が一体何なのかについては何も述べていないし、私に妻がいるのかどうかさえ述べていません。論理式っぽく書くと、¬∃x(私の配偶者(x)∧女(x)) となります。

 配偶者は存在していることを示唆するとともに否定を含む内容をより細かく伝えるときは、段階否定を使います。

 (3)は、「私の配偶者は女ではない」(男だ)という意味です。

 na’e と to’e はこの場合は同じ意味になります。

   ∃x(私の配偶者(x)∧¬女(x)).

 (4)は、「私の配偶者は本当の女というわけではありません」という意味で、ここでの尺度は女性から男まで、と推定されます。男勝り、というつもりかもしれませんね。

 出典は、.cogas.さんの

 味噌煮込みロジバン: Lojban Lessons - 23章 (否定表現) (misonikomilojban.blogspot.com)