カタラン立体のご紹介1:https://ameblo.jp/karaokegurui/entry-12597050075.html
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2.カタラン立体の一般的性質と他の多面体との対比
カタラン立体は半正多面体の双対なので、その面、稜、頂点の数はもとの半正多面体の頂点、稜、面の数に等しくなります。
半正多面体だと、正多面体の知識があれば、目で追いながら面、稜、頂点の数を数えることができますが、カタラン立体だと嫌気が差します(^^;
半正多面体は、面には複数種類ありましたが、頂点周りはすべて合同でした。
その双対であるカタラン立体は、頂点周りは複数種類あって合同ではありませんが、面はすべて合同、つまり1種類です。
半正多面体の面はすべて正多角形であるため、その双対であるカタラン立体の頂点周りはすべて正角錐となります。
これに対し、(準正多面体を含む)半正多面体は、頂点周りが複数種類の面からなるので、正角錐とはなりません。
正多面体と半正多面体の面が正多角形であるのと異なり、菱形12面体・30面体以外のカタラン立体の面は2等辺3角形とか凧形、盾形などで、かなりいびつな多角形です。
つまり、面の対称性が低いのが、「カタラン立体が美しくない」主な原因です。
ちなみに、多面体全体としての対称性は、双対となる半正多面体と同じです。
菱形12面体・30面体の面は菱形です。
菱形は、正多角形と同じくすべての辺の長さが等しいという性質をもちます。
このため、菱形12面体・30面体の稜の長さもすべて等しくなります。
これに対し、菱形12面体・30面体以外のカタラン立体の面は2等辺3角形とか凧形(4角形)、盾形(5角形)で、辺の長さが等しくなく、したがって立体の稜も不等となります。
半正多面体の稜の長さはすべて等しいので、双対であるカタラン立体の二面角はすべて合同です(等しくなる)。
二面角とは、隣り合う2枚の面がつくる角のことです。
半正多面体では隣接する正多角形の面の組合せが1種類ではないので、二面角も複数存在します。
ただし、立方8面体と20・12面体という2種類の準正多面体については、すべての稜が同じ面の組合せとなるため、二面角はすべて合同です。
多面体の外接球とは、多面体の外側からそのすべての頂点に接する球のことです。
頂点周りが合同である多面体は、外接球をもちます。
多面体の内接球とは、多面体の内側からそのすべての面に接する球のことです。
面がすべて合同である多面体は、内接球をもちます。
多面体の中接球とは、多面体のすべての稜に接する球のことです。
(稜が球を突き抜けているときは、接するとはいいません。)
中接球は、多面体の頂点より内側、面の中心より外側に位置します。
正多面体などはもちろんですが、半正多面体でも、立体の中心から各稜の中点までの距離はすべて等しいため、中接球が存在します。
このため、双対のカタラン立体でも、中接球が存在します。(必ずしも稜の中点で接するわけではない)
これまでみてきたカタラン立体の性質を、他の多面体と表の形で比較してみます。
正多面体などの性質
. 「正」 「準」 「半」 「菱」 カタラン .
面は正多角形か 〇 〇 〇 × ×
面は合同か 〇 × × 〇 〇
頂点周りは正角錐か 〇 × × 〇 〇
頂点周りは合同か 〇 〇 〇 × ×
稜の長さは等しいか 〇 〇 〇 〇 ×
二面角は合同か 〇 〇 × 〇 〇
内接球の存在 〇 × × 〇 〇
中接球の存在 〇 〇 〇 〇 〇
外接球の存在 〇 〇 〇 × ×
(注)1 表頭の「正」は正多面体、「準」は準正多面体、「半」は「準」を除く半正多面体、「菱」は菱形12面体と菱形30面体、カタランは「菱」を除くカタラン立体。
2 「合同」は「1種類」と同じ意味で、「すべて同じ形をしている」といってもよい。
3.カタラン立体の面、稜、頂点の数
カタラン立体の面、稜、頂点の数などについて、表の形で整理します。
番号 名称 面 稜 頂点 面の形状 面を取り巻く頂点 対称性
1 菱形12面体 12 24 14 菱形 v3434 Oh
2 菱形30面体 30 60 32 菱形 v3535 Ih
3 3方4面体 12 18 8 2等辺3角形 v366 Td
4 3方8面体 24 36 14 2等辺3角形 v388 Oh
5 4方6面体 24 36 14 2等辺3角形 v466 Oh
6 3方20面体 60 90 32 2等辺3角形 v3,10,10 Ih
7 5方12面体 60 90 32 2等辺3角形 v566 Ih
8 凧形24面体 24 48 26 凧形 v3444 Oh
9 凧形60面体 60 120 62 凧形 v3454 Ih
10 6方8面体 48 72 26 3角形 v468 Oh
11 6方20面体 120 180 62 3角形 v4,6,10 Ih
12 5角24面体 24 60 38 楯形 v33334 O
13 5角60面体 60 150 92 楯形 v33335 I
以下、表の解説を行います。
カタラン立体の面、稜、頂点の数は、半正多面体の頂点、稜、面の数です。
(面の数と頂点の数が入れ替わっている点にご注意ください。)
カタラン立体のうちで、
・ 面の数が一番多いのは、 11の6方20面体で、120枚
・ 稜の数が一番多いのも、 11の6方20面体で、180本
・ 頂点の数が一番多いのは、13の5角60面体で、92個
面の形状の凧形と楯形については、第1節で触れました。
詳細な数値は、第4節で解説します。
面を取り巻く頂点の記号は、たとえば「11 6方20面体」のv4,6,10であれば3角形の面の周りに4価の頂点、6価の頂点、10価の頂点の順で並んでいることを意味します。
価数が一桁の頂点だけであれば、カンマ”,”を省略します。
ただし、順序は時計回りと反時計回りを区別しません。
対称性は、元の半正多面体と同じです。
さらに、12と13を除き、半正多面体の元の正多面体とも同じです。
多面体の対称性を表す記号の意味
記号 代表的な例
Oh : 立方体と正8面体の対称性
Ih : 正12面体と正20面体の対称性
Td : 正4面体の対称性
O : 変形立方体の対称性
I : 変形12面体の対称性
この際、コンウェイ記号も一緒に紹介しようかとも思ったのですが、また別の話題として次の連載に回します。
4.カタラン立体の面の精確な形
すでに第1節で面の形にも触れましたが、ここではさらにその精確な形を示します。
ただし、私自身が計算したものではなく、wikiからの丸写しなので、質問されても困ります(^^;
番号 名称 面の形状 辺の比率 角度
1 菱形12面体 菱形 1:1 鈍角約109.47°,鋭角約70.53°
2 菱形30面体 菱形 1:1 鈍角約116.57°,鋭角約63.43°
3 3方4面体 2等辺3角形 3:3:5 頂角約112.89°,底角約33.56°
4 3方8面体 2等辺3角形 頂角約117.2°,底角約31.4°
1:1:1+√2/2
5 4方6面体 2等辺3角形 3:3:4 頂角約83.62°,底角約48.19°
6 3方20面体 2等辺3角形 頂角約119.04°,底角約30.48°
2:2:3+√5/5
7 5方12面体 2等辺3角形 頂角約68.62°,底角約55.69°
2:2:3-√5/3
8 凧形24面体 凧形 1:2-√2/2 鈍角約115.26°,鋭角約81.58°×3
9 凧形60面体 凧形 1:(7+√5)/6 118.27°,86.97°×2,67.78°
10 6方8面体 3角形 約55.02°,約87.20°,約37.77°
1:(6+9√2)/14:(10+√2)/7
11 6方20面体 3角形 約58.24°,約88.99°,約32.77°
1:(9+3√5)/10:(7+√5)/5
12 5角24面体 楯形 鈍角約114.81°×4,鋭角約80.75°
短辺1:長辺約1.4196
13 5角60面体 楯形 鈍角約118.14°×4,鋭角約67.45°
短辺1:長辺約1.74985
1と2では面が菱形なので、定義から4辺の長さは等しくなります。
1組の対角が鈍角、もう1組の対角が鋭角です。
3~7では面は2等辺3角形で、いずれも等辺よりも底辺の方が長いです。
したがって、底角よりも頂角の方が大きく、2つの底角はいずれでも鋭角となります。
頂角は、3,4,6では鈍角、5と7では鋭角となります。
8と9では面は凧形4角形で、いずれも3つの角が鋭角で、残りの1つは鈍角です。
一般に凧形では1組の対角が等しいのですが、8では、鋭角3つが等しくなっています。
10と11では面は3角形で、一見直角3角形のように見えますが、どちらも90°には少し足りない、鋭角3角形です。
12と13では面は楯形5角形で、底辺とそれに隣り合う2辺の計3辺が短辺、頂角を挟む2辺が長辺です。
頂角のみが鋭角であり、他の4角は等しい鈍角です。
凧形と楯形は一般的にはもっと多様ですが、カタラン立体に現れる4種類(8,9、12、13)は、いずれも角の値が2種類に限定されるなど特別なものです。
★ カタラン立体についてはこれでおしまいです。
多面体シリーズの次回は、コンウェイ記号の行列表現を取り上げようかと思っています。