ハッブル‐ルメートルの法則! | 宇宙とブラックホールのQ&A

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・IAU、宇宙膨張の法則名として「ハッブル‐ルメートルの法則」を推奨
アストロアーツ11月1日付記事、元は国際天文学連合(IAU)です。
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10272_hubble-lemaitre

概要>従来「ハッブルの法則」と呼ばれてきた宇宙膨張に関する法則の名称について、国際天文学連合では今後「ハッブル‐ルメートルの法則」と呼ぶことを推奨すると発表した。ハッブル以前に同様の成果を発表していたルメートルの貢献を称えるものだ。

>1929年、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブル(Edwin Powell Hubble; 1889-1953)は、銀河が遠ざかる速度(後退速度)は銀河までの距離に比例するという研究成果を発表した。「ハッブルの法則」と呼ばれてきたこの成果は、天文学における最も重要で有名な法則の一つである。

「ハッブルの法則」は、「銀河が遠ざかる速度(後退速度)は銀河までの距離に比例する」というものです。
宇宙に関する最も基本的な法則なのですから、「天文学における最も重要で有名な法則」と言っても間違いないでしょう。

日本人は特に第二次大戦後、個人の名前を物事に冠することは好んでしませんが、欧米では当然のこととされます。

>実はハッブルの2年前に同様の内容を発表した人物がいた。ベルギーの天文学者ジョルジュ・ルメートル(Georges-Henri Lemaître; 1894-1966)だ。ルメートルの論文は無名の仏語誌『ブリュッセル科学会年報』に掲載されたため、その成果は広く知られることなく、長く歴史に埋もれることとなった。

ここで、アストロアーツ掲載の画像をご覧ください。
上の写真は、米・パロマ山天文台の48インチ望遠鏡の傍らに立つハッブルの姿ですが、何となく望遠鏡に潰されそうに見えますね(^^;
下がルメートルの写真で、「ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学で教鞭をとる」という説明が付いています。
ルメートルはカトリックの神父なので、それらしい服装をしています。

>近年になってルメートルの研究経緯が詳しくわかり、宇宙膨張に関する理論研究に対するルメートルの貢献を認めようという動きがなされるようになった。そこで国際天文学連合(IAU)は今年8月に、オーストリア・ウィーンで開催されたIAU総会の場で、「ハッブルの法則」にルメートルの名前を追加することを提案した。
>その後、IAUの会員約1万1000人を対象に電子投票が実施され、有効票約4000票のうち8割弱が新名称「ハッブル‐ルメートルの法則」への変更を支持したことから、IAUは法則の新名称として「ハッブル‐ルメートルの法則」を使用することを推奨すると発表した。
>「名称を決めるのに投票という方法はなじまない」「『ルメートル‐ハッブルの法則』ではないのか」といった意見もないわけではないが、今後は学術書や科学雑誌等では新表記が用いられていくこととなるだろう。

ルメートルの業績はその通りなので、異論はあまりないでしょう。
ただ、少なくとも日本語では「ハッブル‐ルメートルの法則」は少し長すぎて、結局実際には元の「ハッブルの法則」に戻ってしまうのではないかと思います。

それと、この話題の関連で、第二次大戦前の日本語雑誌に発表された論文はフランス語雑誌に発表された論文のような評価を受けていないのではないか、という感想をもちました。
まあ、近年は英語雑誌に発表しているでしょうから、問題はないと思いますが。