世界最大の望遠鏡建設再開 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

・ハワイの巨大望遠鏡 先住民反対も 州最高裁が建設認める
NHKニュースウェブ10月31日付記事です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181031/k10011692821000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_015

概要>日本やアメリカの天文台や大学がハワイで建設を計画している世界最大の望遠鏡は、地元の先住民などの反対で、3年前、裁判で手続きの不備を指摘され建設が中断しましたが、州の最高裁判所は30日、一転して建設を認める判決を言い渡しました。

何しろ世界最大!の望遠鏡です。注目しないわけにはいきません。

>日本やアメリカなど世界5か国の天文台や大学などは、ハワイ島のマウナケア山の山頂に直径30メートル、高さ56メートルの世界最大の反射望遠鏡の建設を計画していますが、地元の先住民などが反対しています。

Thirty Meter Telescopeなので、TMTという略称が用いられています。
ハワイ島マウナケア山頂は、すでに日本のすばるを含め世界各国の大望遠鏡が林立、とまではいかないとしてもひしめき合っています。
それらは確かいずれも口径がおよそ8~10mのものでドングリの背比べだったと思いますが、今度は30mのバカでかい大親分というかラスボスが登場するわけです。
マウナケア山はもともと地元先住民の信仰の対象であり、これまでも望遠鏡の建設に当たっては地元との共存に心を配ってきたわけですが、すでに望遠鏡銀座ができているところにラスボス出現で先住民の一部が我慢できなくなったというところでしょうか。

>州の最高裁判所は3年前、「住民の意見を十分に聞かなかった」と手続きの不備を指摘して建設許可を無効としたため、建設が中断していました。

手続きの不備であれば、先送り冷却期間というところでしょう。
でも、最新機器で3年間という長い建設凍結は痛いですね。

>許可の手続きがやり直されたことに対して、住民たちは「山頂は先住民にとって神聖な場所だ」などとして建設の差し止めを求め訴えましたが、州の最高裁判所は30日の判決で、一転して、「天文学と先住民はこれまでも共存してきた。計画は先住民の土地の利用を妨げるものではない」として、建設を認めました。

「神聖な場所」だという主張に対して、「土地の利用を妨げるものではない」という判決の言い分はすれ違い答弁ですが、「天文学と先住民はこれまでも共存してきた」という点を重視したのでしょう。

>州の規定で、判決の見直しは10日以内に求めることができますが、住民たちはこれ以上の法的手続きには希望が持てないとしています。

裁判では今後争うつもりはないということですね。
まさかとは思いますが、実力行使など考えていなければよいのですが。

>建設計画の責任者は「島の文化や先住民の方々に敬意を持ち、その将来に貢献する役割を果たしたい」という声明を発表しました。

完成してからも長いお付き合いが続くのですから、そういう心がけは当然ですね。

>望遠鏡が完成すれば、太陽系の外で生命がいそうな星を探したり、宇宙の成り立ちをひもとく天体現象を見つけられたりすると期待されています。

大いに期待したいと思います。
ただ、30メートル望遠鏡という意味そのままのTMTという名前ではあまりにもひどいので、ファーストライト前にちゃんとした名称を付けてもらいたいです。
これまでの経緯を踏まえると、先住民の信仰を尊重することを表すような名称で合意できればより望ましいと思います。