重力波観測続報 | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

・重力波を発生させたブラックホール連星のなぞ
アストロアーツ2月19日付記事、元はThe Conversationです。
http://www.astroarts.co.jp/news/2016/02/19blackhole/index-j.shtml

概要>偉大な科学の発見の後には、多くの新たな疑問がつきものだ。ブラックホール同士の合体によって生じた重力波が検出されたという発表以降、研究者は今回の重力波の検出が何を意味するのかなど、あれこれ考え始めている。とくに、太陽質量の30倍前後のブラックホールの作られ方が問題だ。

重力波初観測については次の記事をご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/69158938.html

>初めて検出された重力波は、太陽36個分と29個分の質量を持つブラックホール同士の合体によって生じたものとみられている。この質量は重力波の周波数から見積もられた値だが、こうした質量を持つブラックホールがどうやって作られるのかは、はっきりしていない。

合体した2つのブラックホールの質量は太陽の36倍と29倍とのことですが、この推計は
>重力波の周波数から見積もられた値
ということです。

>ブラックホールは大質量星が超新星爆発を起こした後に誕生するが、天の川銀河内において、伴星を持つブラックホールのうち最も大質量のブラックホールは太陽の10~20倍の大きさである。宇宙最大の恒星は太陽の約100倍の質量を持って誕生するが、恒星風によって物質が宇宙空間に吹き飛ばされてしまうため、星の一生の最終段階では質量が太陽質量の10倍程度となってしまう。つまり、今回レーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」が検出したような大質量ブラックホールは形成されないのだ。

「伴星を持つブラックホール」について質量の推計が載っていますが、ケプラーの第3法則を使ったのだと思います。
ケプラーの第3法則と天体の質量:
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/63742401.html
ただ、自信はあまりありません。

>では、LIGOが検出したブラックホールはどうやって大質量になったのだろうか。その疑問については早くも論説が発表されており、2つの崩壊する大質量星からできたと仮定すれば説明がつく。この大質量星は、金属(ホウ素より重い元素)がとても少ない小さな銀河にあるはずだと考えられている。金属が少ない星は一生のうちにあまり質量を失わず、質量を多く残して一生を終え大きなブラックホールを形成する。

もともと大質量の星2つが連星を構成していて、いずれも超新星爆発を起こしてブラックホールとなり、ブラックホール連星となった、ということです。
素人考えだと、超新星爆発が2回もあれば、連星系なんて簡単に壊れてバラバラになりそうな気がするのですが、そうでもないんですね。

>この天体についてもっと多くのことを調べるため、研究者たちは重力波源を様々な波長の電磁波で観測して特定しようとしている。LIGOの観測では「満月2000個分の広さの領域のどこか」としか方向がわかっておらず、しかもブラックホールの合体では相当量の電磁波は生成されないと予測されているため、観測は容易ではない。

やっぱり光(電磁波)で見たい、というのが天文学者の人情というものでしょう(^_^
ただ、ブラックホールどうしの合体で電磁波が放射されるメカニズムというのは思いつきません。

「満月2000個分の広さの領域のどこか」というのは、立体角です。
それにしても広すぎますね。

>ガンマ線天文衛星「フェルミ」は、LIGOによる重力波検出の0.4秒後から1秒間続いたガンマ線を検出している。非常に興味深い現象だが、フェルミもこのガンマ線がどこから発せられたのかはわからないので、重力波とガンマ線との関連は確かなものではない。ブラックホール同士が一定の条件で合体するとガンマ線バーストを起こすという理論予測はあるので、両者の関係性をはっきりさせるためにも、高エネルギー現象の観測と重力波信号の検出とを同時に実施することが望まれる。

ガンマ線バーストは、宇宙最大の爆発と呼ばれます。
ガンマ線バーストは、継続時間が2秒より長いか短いかで区分されます。
2秒より長いものは特に大規模な超新星爆発に伴って生じたものであり、短いものは中性子星からなる連星系の合体で生じたものであると考えられています。(いずれもその跡にブラックホールが誕生する。)
でも、せっかくガンマ線を検出しても、こちらも重力波と同様に方向が絞れないというのは、困ったことです。

まあ、初の重力波観測ですから、仕方ないですか。
今後の改善課題ということで、期待しましょう。