時間が逆転可能とはどういうことか | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

例示で説明します。

キャッチボールで、ボールを弓なりに投げます。
(弓なりでなくてもいいのですが、後の都合上・・・)
ボールがピッチャーの手を離れてキャッチャーの手に入るまでを、少し離れて横からビデオに撮ります。
このときボールが描く曲線が放物線です。
文字通り物を放ったときの線ですね。

さて、ビデオを回して見てみましょう。
当然ながら何の変哲もありません。
では、今度はビデオを逆転して見てみましょう。
手や他の余計なものが映らなければ、ボールの動きは逆転させた場合も「自然」なはずです。

ニュートン力学では時間が逆転可能だというのは、こんな感じです。
(いい加減でスミマセンです。数式を入れると、煩雑になりすぎて)

キャッチャーに捕球されたときの高さがピッチャーの手を離れたときの高さと同じであれば、ボールの最初と最後の瞬間の速さは、等しくなっています。

アメリカで近年起きた実話。
秘密結社KKK(クークラックスクラン)の集会でピストルを上に向けて撃ったところ、やがて落ちてきた弾がKKKの司祭の頭蓋骨を貫通して大怪我をさせた。
ところが、それを紹介したテレビキャスターたちはそろって、たかが重力でそんなことがあるんですかねぇ、と首をかしげたとか(日経サイエンスの記事より)。

賢明な読者の皆さんはすでにお分かりだと思いますが(笑)、
弾は撃ち出した初速と同じ速さで、ただし方向は反対の下向きに落ちてきたのですから、大怪我をするのは当たり前ですね。

一般にニュートン力学では、運動を表す式の中で時間変数tを-tに置き換えても、置き換えた式が成り立ちます。
この「t→-t」という操作を時間反転といい、
ニュートン力学では時間反転対称性、略してT対称性が成り立っているといいます。
Tはもちろん time の頭文字です。


★ 2005/ 4/19に時間トピにmsg16として投稿したものです。幼稚な議論ですが、懐かしいです。
なお、KKKのピストルの弾の記述は一部間違いです。
最近ある方のご指摘で、空気抵抗があるために初速までは加速しないことを確認しました。