△宇宙の最期はどうなるの? | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

Q 宇宙は現在膨張を続けているとのことですが、遠い未来にはどうなるのでしょうか?


A 宇宙の始まりにはビッグ・バン(Big Bang)という名前が付いていますね(注)。
同じように宇宙の最期にもビッグを冠した名前が付いています。
ただ宇宙の最期については、宇宙の始まりと違って最初から確立した理論があったわけではないので、いろいろな最期が考えられてきました。

・ビッグ・クランチ(Big Crunch):宇宙が減速膨張から収縮に転じて一点にまで潰れる場合。
10年ほど前まではこれが標準的な理解でしたが、今は違います。
英語辞書によると、クランチはバリバリ、ガリガリ、ザクザクという擬音語を伴うような現象を意味するようです。
標語的には、「俺たちはみんなペシャンコだ!」となります(^^
なお、膨張から収縮に転じる時点は、その一瞬だけ膨張も収縮もしていないので、ビッグ・ストップ(Big Stop)という名前が付いています。

・ビッグ・バウンス(Big Bounce):ビッグ・クランチと同様にいったん一点にまで潰れるが、そこから再び膨張し始める場合。
バウンスとは、ボールが床にぶつかって跳ね返るような現象を意味します。
このような説の例としては、以前ご紹介した「サイクリック宇宙論」をご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/16382014.html

・ビッグ・フリーズ(Big Freeze)あるいはビッグ・チル(Big Chill):永遠に加速膨張を続けて、星もすべて燃え尽き、宇宙温度が絶対零度にまで近づく場合。
暗黒エネルギーに基づく加速膨張が定説となった近年では、これがもっともありそうな未来と考えられています。
標語的には、「俺たちはみんな凍りつく!」

・ビッグ・リップ(Big Rip):加速膨張がどんどん激しくなって、銀河が壊れ星もバラバラになり、最後はすべての物質が粉々になる場合。
暗黒エネルギーが宇宙定数ではなくて、クィンテッセンスと呼ばれる変数のときの極端なケースで、ファントムエネルギーと呼ばれます。(このとき、スケール因子が未来の特定時点で無限大に発散します。)
リップは、(引き)裂くことです。
標語的には、「俺たちはみんな股裂きだ!」(^^

ビッグな宇宙のビッグな最期、皆さんはペシャンコと冷凍と股裂きのどれがお好みですか(^^

(注) ただし厳密にいうと、今ではビッグ・バンより前に宇宙が爆発的に(指数関数的に)膨張したインフレーションという段階があったと考えられています。


★ 「ビッグな宇宙のビッグな最期」というフレーズを先に思いついたので、それに合うように漫談調でまとめてみました。