昔、六本木ヒルズのあった辺りにハートランドのビアホール「つた館」と「穴ぐら」という店がありました。
ウィスキーの貯蔵倉を改造したという「穴ぐら」は真っすぐなトンネルの中に長い長いカウンターが続く作りで、料理も手巻きずしセットや生春巻き、点心など楽しいメニューがたくさんで味も良く、何度も通いました。
それと同じくらいお気に入りの場所だったのが平日昼間の「つた館」。
つたの絡まる古い4階建ての洋館の1階には大きな作業台のような木のテーブルにシンプルな木の長椅子があり、大きな窓の外は自然な雰囲気の緑の中庭でした。
雨好きな私は雨の日の仕事のない平日によくそこに行き詩を書いて長い時間を過ごしました。
とにかくこういう日には、他にほとんどお客さんがいませんでした。
BGMが無く、雨の音が聞こえていました。
今でもあの店が無くなった事が寂しく、その代わりになる雨の日のカフェを探しています。
私が忘れられないお気に入りの場所にもう一つ、スリランカにあるギャラリーカフェがあります。
スリランカを代表する建築家、ジェフリーバワの元オフィスで、カフェも、料理もギャラリーもどこをとっても好きなのですが、またまた雨好きな私が最近気になってきたのが入口からカフェの中に入るまでのこの中庭的廊下。回廊?
四角い池で二本に分かれた廊下にはそれぞれ屋根があり、ひさしが池に向かって傾いています。
スリランカの雨はほとんどがスコールなので私のイメージではないのですが、もしも日本の雨だったら、この屋根から落ちる雨だれや、水面の波紋がさぞや素敵だろうと想像するのです。

写真はネットから拝借しています。
そんな私の理想的な居場所をイメージしてみました。
詩「雨の日のアトリエ」
そこには しずくが流れる窓があり
優しい光が屈折して
天然木の机に 水模様を揺らす
中庭の木々の葉は
水玉と跳ね踊り
淡く濃く 遠く近くに
ひらひら遊ぶ
雨は屋根を叩き
樋を奏で
ひさしのトタンを鳴らして
土や水面に歌う
それは雨の中にあって
唯一濡れない場所
蔦の絡まる 小さな森の
雨の日の洞窟
かっぱぶいこ
