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⚠WARNING⚠
汚いお話の続きです。
なんとなく映画紹介。
『ジェヴォーダンの獣』
わたしも袋の中身を捨てるためトイレに案内されたのですが
少し余談
なんか普通に女性用に案内されたけど、タイフランスではそういうものなのかな?
これ、仮に日本の大学病院とかだったらどうなっていたんだろう?とは少し気になります。
ちなみにわたしは多目的、ないし男性用を使い続けますのであしからず。
だから男性用トイレで遭遇しても、変な目で見ないでくれ給えよ!
トイレに入るとステラが手を洗っているところでした。
そして、鏡越しに研ぎ澄まされた鋭い視線をわたしを向けるステラ。
わたしは気にしないふりをしながら、個室で袋の中身を片付けていました。
定位置に戻り、再び水を飲み始めたわたし。
同じく水を飲みながら、時折鋭い視線をわたしに向けるステラ。
気づくと時刻は13時を回っていました。
人によってはかなり遅くまでかかる苦行ということで、わたしはふと
とそんなことが気になり始めていました。
そうこうしているうちに220mlの水は3つなくなり、再びあの感覚がやってきました。
しかし、またしても先に動いたのはステラでした。
その時、近くに看護師さんは一人しかいなかったため、わたしはステラの計測が終わるのを待つことに。
ステラの表情からは、苛立ちが滲んでいました。
結果は残酷でした。
看護師さんは首を振り、ステラはそれまでよりも少し低い声でおそらく抗議を口にしていたと思われます。
しかし、今度はすぐに諦め、トイレの中に入って行きましたが、その直後、思い切りドアが閉められたような音が響きました。
アテンドさんがそう口にするまでもなく、わたしにもよく分かっていました。
人にもよるとは思いますが、実際これはかなり苦しい戦いです。
終わりが見えない中、ただ水を飲み続けながらおしっこが出るのを待つというのは、肉体的にも精神的にもくるものがあると思います。
ましてや、300ml以下はノーカウントとなると・・・
戻ってきたステラの表情は
怒り
そのものでした。
そして、同時にわたしの2回目の計測が始まりました。
看護師さんといっしょに見守っていたアテンドさんが、少し笑いながら言いました。
と、喜んでいいんだかよくわからないことを言われていたわたしを・・・
凄まじい形相で、最早睨みつけていたステラ
ああ・・・わたしその目、知ってる。
それは嫉妬だ。
っていう目だ。
っていう目だ。
本当は駄目なことだと分かりつつも、ついステラに同情してしまうわたしがいた。
もう、勝敗なんてどうでもいいわたしがいた。
ただ、早くこの苦しみが終わってほしいと思うわたしがいた。
それに・・・
ステラ、この戦いはわたしに分があったかもしれない。
でも、それ以外のところではわたしは決してあなたには勝てない。
だって、あなたの方がスリムで、美白で、顔も何もかも・・・
わたしとは比べ物にならないぐらい女性として高いところにいるから-
なんてことを喋っているうちに、この後に控えている喉仏縮小手術のお支払と、先生のカウンセリングを受けているうちに
ステラの姿は消えていました。
そんなことを思いながら、わたしは最後のおしっこトレーニング、カテーテルを外し、これからのあるべき姿のおしっこの仕方を実践して、無事にトレーニングを終了しました。
14:30のことでした。
ちょうど3時間。
一度ホテルに戻るため、アテンドさんの車に乗り、そこで
というお話を聞きました。
だから、おしっこのトレーニングは非常に重要で、どんなに苦しくても絶対にやりきらなくてはならなくて、万が一おしっこが出なくて困るのは自分自身だから、とのことでした。
少し余談
そういう仕事をしているからっていうのももちろんあるとは思いますけど、MtFに対してとても自然に“彼女”という言葉を使うんですよね。
病院の人たちも自然に“She”を使っているし。
わたしは女性扱いしてください!って要求していないからというのもあるけど、実生活において今まではっきりそんなようなことを言われたのって、睾丸を摘出してくれた先生だけだなー。
なんてふと思いました。
・・・確かにステラは刃を交えた好敵手かもしれなかったけど、それでも同じ日に同じ時間に苦しみを共有できた人。
一言も言葉は交わしてないけど、数え切れないぐらい何度も視線を交したステラ。
僭越ながら、わたしは今、ステラを友だと思っています。
ステラがどう思っているかは分からないけど、もし、帰るまでにもう一度会えたら、その時は友として笑顔で挨拶しよう。
たとえ、ステラが覚えていなくても-
そんなことを思った、7/6の15時でした。
おしっこトレーニング編、完
なお、ステラ(仮名)の名前とステラが実際に思っていた事以外は