カレ「おまえ幾つだ?」
オレ「何で?」
カレ「おれより半年遅生まれだっけ?」
オレ「だったかも知れないな」
カレ「ブログ読んだよ」
オレ「そうか。だったら何か書いてくれよ」
カレ「そんな若さはないよ」
オレ「ありゃ、若さで書くもんじゃないよ」
カレ「お前、若いよ」
オレ「どいう意味?」
玄関のチャイム。
オレ「ちょっと待て。客だ」
カレ「客?」
オレ「何か配達物かも。ちょっと待て」
案の定贈り物だった。
ビール券20枚。
「芝居良かった。飲んでくれ」の一筆箋の入った速達だった。
オレ「お待たせ」
カレ「何だった?」
オレ「速達だった」
カレ「この前の芝居面白かったよ」
お前のブログを読むと、かなりひどいように書いてあるが、
最近の芝居はつまらないから、
カリカリするほどではない。
安心しろというようなことをボソボソしゃべっていた。
録音してあるが文字に起こせない箇所がいくつもあった。
オレ「そうか」
カレ「あいつは確かに下手糞だったがよ」
素人の俺が見てもヒドイ芝居だったという。
カレ「ああいうのを木偶ってんだろう?」
オレ「木偶かァ、なるほどな」
カレ「今度、おれがやってやろうか?」
オレ「やめてくれ」
カレ「何でだよ。おれの方がずっといいかもしんねえじゃねぇか」
オレ「その口の利き方じゃ、端ッからダメだね」
カレ「よく言うよ。あんな木偶からすりゃ、素人のおれでも・・・」
しばらく黙ってから、
カレ「冗談だよ。お前のブログ見てたら可哀想でよ」
慰めるつもりだったようだ。
オレ「酔っ払ってるな?」
カレ「大丈夫だよ。母ちゃんが貸せって」
突然、彼の奥さんが出てきた。
奥様「ごめんなさいね」
彼女がブログを見せたらしい。
奥様「慰めてやんなさいっていったら、妙なことを言ってるじゃない?」
多少狼狽気味の声だった。
オレ「嬉しいですよ。本当はお礼言いたいんだけど」
奥様「いい友達よね二人は・・・」
うっとりしたような声が耳にくすぐったい。
オレ「嬉しかったって、彼に言っておいて」
奥様「ありがとう」
でも、いい芝居だったと彼女も言ってくれた。
奥様「感動して、私、泣いちゃった」
カレは奥方に電話を渡して寝てしまったらしい。
今度の芝居も案内をして欲しいと言って電話が切れた。
今夕に書いたブログを読んだ友人の奥方。
その内容が気になり旦那に話してくれたのだ。
いい友人とその奥方である。