演劇人生 -65ページ目

演劇人生

今日を生きる!

カレ「朝早くごめんな」

オレ「何時だ?」

カレ「7時前だ」

   6時30分・・・

   朝まで生テレビを観ていたのできつい。

カレ「大丈夫か?」

オレ「う~ん、何だ?」

カレ「おれ、悪かったと思ってよ」

オレ「昨日の電話か?」

カレ「酔っ払っててさ、何か失礼なこと言ったか?」

オレ「そう思ったのか?」

カレ「奥さんがさ、そう言ってたから」

オレ「そうか。出来た奥さんだなァ」

カレ「そうなんだよ・・・」


と、まぁ、こんな電話が早朝入ってきました。

録音していなかったので、この程度までしか覚えていない。


カレ「おれの良心みたいな存在だから」

   頑張ってくれと言ってカレのほうから電話は切られた。


オレの良心・・・重いことばをあっさりと投げかけて、

「じゃぁな、頑張ってくれ」

はないだろう。

重荷を背負わせないでくれよ。


きょう、これから出かける。


カルチャーで「話し方・伝え方」

サブタイトルに「表現力豊かな」をつけたが、

受講生は少ないようだ。


行ってきます。

カレ「おまえ幾つだ?」

オレ「何で?」

カレ「おれより半年遅生まれだっけ?」

オレ「だったかも知れないな」

カレ「ブログ読んだよ」

オレ「そうか。だったら何か書いてくれよ」

カレ「そんな若さはないよ」

オレ「ありゃ、若さで書くもんじゃないよ」

カレ「お前、若いよ」

オレ「どいう意味?」

   玄関のチャイム。

オレ「ちょっと待て。客だ」

カレ「客?」

オレ「何か配達物かも。ちょっと待て」

   案の定贈り物だった。

   ビール券20枚。

   「芝居良かった。飲んでくれ」の一筆箋の入った速達だった。

オレ「お待たせ」

カレ「何だった?」

オレ「速達だった」

カレ「この前の芝居面白かったよ」

  お前のブログを読むと、かなりひどいように書いてあるが、

  最近の芝居はつまらないから、

  カリカリするほどではない。

  安心しろというようなことをボソボソしゃべっていた。

  録音してあるが文字に起こせない箇所がいくつもあった。

オレ「そうか」

カレ「あいつは確かに下手糞だったがよ」

  素人の俺が見てもヒドイ芝居だったという。

カレ「ああいうのを木偶ってんだろう?」

オレ「木偶かァ、なるほどな」

カレ「今度、おれがやってやろうか?」

オレ「やめてくれ」

カレ「何でだよ。おれの方がずっといいかもしんねえじゃねぇか」

オレ「その口の利き方じゃ、端ッからダメだね」

カレ「よく言うよ。あんな木偶からすりゃ、素人のおれでも・・・」

  しばらく黙ってから、

カレ「冗談だよ。お前のブログ見てたら可哀想でよ」

  慰めるつもりだったようだ。

オレ「酔っ払ってるな?」

カレ「大丈夫だよ。母ちゃんが貸せって」

  突然、彼の奥さんが出てきた。

奥様「ごめんなさいね」

  彼女がブログを見せたらしい。

奥様「慰めてやんなさいっていったら、妙なことを言ってるじゃない?」

  多少狼狽気味の声だった。

オレ「嬉しいですよ。本当はお礼言いたいんだけど」

奥様「いい友達よね二人は・・・」

  うっとりしたような声が耳にくすぐったい。

オレ「嬉しかったって、彼に言っておいて」

奥様「ありがとう」

  でも、いい芝居だったと彼女も言ってくれた。

奥様「感動して、私、泣いちゃった」

  カレは奥方に電話を渡して寝てしまったらしい。

  今度の芝居も案内をして欲しいと言って電話が切れた。

  今夕に書いたブログを読んだ友人の奥方。

  その内容が気になり旦那に話してくれたのだ。


いい友人とその奥方である。

劇団で公演する作品それぞれの演出ノートを作ってきたましたが、

途中で・・・プッツリ途絶えた白紙のノートがあります。


これまで経験したことのない出来事が多過ぎました。


粘り強く「疲れた」以外の弱音をはいたことのない三園さんが、

珍しく焦燥感をみせたのです。

「人間、万能ではない」

などという言葉で慰める他はありませんでした。

宥めすかすにも言葉が見つかりませんでした。

「信じられない」の連発・・・



一つの作品を仕上げるのに、

全て万全だったためしはありません。


配役にひずみのある場合が最も多く、

今回のソレもまさに配役が問題でした。


「役者の写真とプロフィールは信用するな」

は、常識ですが、

客演者を探す難しさの一つです。


下手な役者は、まだ活かしようがあります。

しかし、

ダメな役者は活かしようがないのです。

活かすべく何ものをも持ちあわせていないからです。


若い劇団員の一人が、

舞台袖から楽屋に走りこんできて、

「ちくしょうッ!」

こぶしを握り締めています。

「どうじたんだ?」

「あのまま袖にいたら、あいつをぶん殴りそうで・・・」

その場所から逃げてきたというのです。


舞台が始まる前に、

「このセリフだけは、このお芝居の心臓だから」

これだけは間違えないでくれと何度かくリ返して注意したものを、

あっさり飛ばして、とんでもないセリフを言っていたというのです。


「そうか、よかったよ殴らないで」

それが出来るのは演出しかいないのだから・・・

そう言って彼を慰めた。


舞台を終えて、いったい何が残ったのか・・・

考えるだけで疲労感に襲われます。


そんな舞台にもかかわらず、

「感動した」

「よかった」

「素晴らしい舞台」

という感想文がほとんどだ。


今回の演出ノートは、永遠に白紙のままだろう。

埋める何物もないのだから・・・。

「お前みたいな役者は死ね」

こんなことを言われた役者がいた。

彼に電話してみた。

携帯電話を持っていなかったので、

固定電話だ。


「この電話は現在使われておりません」

だったかどうだか正しいメッセージは忘れたが、

こんな風なコメントが耳についた。


「彼は死んでしまったのだろうか」


「死ね!」

と言われてから三十数年後に一緒に芝居をしているから、

勿論、死にはしなかったし、彼は生きて役者をしていた。


彼は役者としてずば抜けた存在感を持っていた。

いい役者だと思う。


彼は好き嫌いが激しかった。


「なァ、豪ちゃんよ、おれはお前が好きだよ」

何やら、

「嫌いにならないでくれ」

と言いたいように聞こえて、

「おれも、お前は好きだよ」

・・・ラブコールを交わしたものだった。


嫌いとなると徹底的に嫌いだった。

それで、

「おれは劇団もやめるよ」

とか、

「行きたくない」

「顔を見るとオエッとなる」

こんなことを吐き捨てるように言うことがあった。


しかし彼は、

「死ね」と言われた演出の悪口一つ言わなかった。

「お前も苛められたろう」

わたしを仲間に引き入れようとした。


友よ・・・生きていてくれ。

役者にもいろいろある。

言わなければ動けない役者。

言わなくても動ける役者。

言っても動けない・・・

言っても動かない・・・


役者と呼ばれるのは初体験でありながら、

目をみはる存在を見せてくれた出演者がいました。

役者そのものをも同時に演じてくれた2人である。


2人とも役者は初めてだった(らしい)。

2人とも企業の現役社長です。


彼らに言わせれば、

「ひょんなことから出演する運びになった」

のだそうです。


憲兵・・・青柳逞郎氏


12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」

特高・・・本間剛久氏


12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」
この2人である。


自称役者へのいい教訓かも・・・


が、本間氏はアメリカで演劇学校での勉強の経験がありました。

演出の手を一切煩わすこともなく、

研究に研究を重ねて稽古場にやってきました

卓越した洞察力を持ち合わせていました。


さて、青柳さんには憲兵の役を振り、

本間さんには棒頭の子分と特高の役を振りました。


戦前、戦中の歴史を紐解き、

2人なりに研究を重ねてきたらしい。


「いいよ」

「それを膨らませてくれればいい」


難点が無かったわけではない。

稽古が少なかったことです。稽古場に来る回数も極端に少ない。


「稽古にならない」

という苦情も出ました。

しかし、2人は研究は怠らなかったようです。


結果は客席のお客さんから届きました。


「戦前、戦中の権力を支えた不気味な存在」としての姿を

見事に演じてくれました。


同時に2人は、

役者の役を見事に演じてくれた・・・そう思っています。


役者と称しながら「?」と思わざるを得ない自称役者が多い中で、

本ものの役者を演じた2人に拍手を送りたい!


ありがとう。