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演劇人生

今日を生きる!

「お前、死ね!」

「それで役者か?」

「馬鹿!」

「ダメだこりゃ!」

「それが芝居か?」

「木偶の棒!」

「こんな役者を食わしてきたと思うと情けないよ」

「お前みたいな奴と一緒の空気吸いたくないよ」


・・・何と言われても、言われないよりはマシなのである。

しかし、言われて反撥し、

やめる役者と、

喰いついて離れない役者がいた。

人格を否定されたと、相手を否定した人もいる。

こんな侮辱を受けるのは耐えられないと去った人もいる。


喰らいつく役者が、次に引き出す言葉は、

「悔しいか」

だ。

何故なら、これには返事ができるから・・・

「はい」

返事ができれば後が続く。

「で、どうする?」

「やります」

「何を?」

「この役をです」

「できないよ」

「できるかどうかわかりません。やるんです」


それから数ヶ月。

「あいつは、たいしたもんんだって言ってたよ」

公演の旅先の食堂で、

「夕べ飲んでる席で、お前のことを言ってたよ」

こんな伝え話を耳にする。

「・・・・」

「嬉しくないのかよ」

「いや、飲んでいての話でしょう?」

「いいじゃねぇか、喜べよ」

「ありがとうございます」


急に飯の味が変わった。


一人になり、台本に目を通す。

「・・・」

おれは役者だ」

を心で呟く。


12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」
 
好きな役者 リチャード・バートン

 「旅路」「いそしぎ」はよかったねぇ。

 エリザベス・テーラーと共演も多い。

 「じゃじゃ馬馴らし」は傑作だ。 

役者馬鹿ということばがある。


これは馬鹿役者とは同じではなさそうです。


役者馬鹿は、巷にいくらでもいる。

馬鹿役者はそれ以上いる。


嘆かわしい限りである。

「えッ・・・お前はどっちだ?」


さあ、答えるのは難しい。


そのどちらにもなりたくないと思いながら、

両方を背中に背負っているのかもしれない。


12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」
      「千の顔を持つ男」の

   ジェームス・ギャグにーはよかった。

    それ以後、彼のファンになった。

役者は下手がいい。


・・・下手でいいというのとは違う。


自分が下手だと分かっている役者がいい。

私も下手な役者だが・・・


師匠の宇野重吉さんから、

「もっと上手くなれ」

しょっちゅう言われっ放しだった。

が、ある日、

「上手きゃいいってもんじゃないよ」

とも言われた。


ま、結局、役者は上手い下手じゃないってことだ。


だったら、下手なくせに上手いと思っている愚かな役者より、

下手を自認している役者の方がずっといいということだ。


ただ、いい役者であって欲しいなァ!


いい例が、

三園ゆう子さんだ。

この女優さんはただ者ではない。

手前味噌に思われるかもしれないが、

今の演劇界で、彼女を凌ぐ女優がいたらお目にかかりたい。

手の焼ける役者だが、

オーラに満ちている女優さんだ。

下手も上手いも関係ない。

役と女優を混同させるカリスマ的存在なのだ。


稽古場で涙を流させる女優が彼女である。



12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」

好きな俳優「人間の運命」のセルゲィ・ボンダルチュク。

「オセロ」「戦争と平和」「ワーテルロー」など、

監督と主演作品が多い。

どうしようか・・・悩んでいる。

自分で悩んでいるといえるのはたいした悩みではないということだ。


本当に悩んでいたら、2~3日街をほっつき歩いて、

屈強な奴に喧嘩でも吹っかけてボコボコニされ、

今頃何処かの病院でウンウン唸っているはずだ。


だから我輩の悩みなんてたいしたものではない・・・

これは分かっている。


さて、その羽のように軽い悩みとは・・・

一緒に芝居を創る役者が足りないということだ。


いい劇団のはずなのに、

集まってこない。


ノルマもない。

芝居も「いいねェ!」と、お世辞抜きで言ってもらえる。


う~ん、悩ましいなァ!


12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」
    好きな役者・・・ピエール・ブラッスール

JPサルトル作品では、「悪魔と神」や「汚れた手」などがあります。

映画では「天井桟敷の人々」、そうそう「リラの門」はよかったですね。

三浦綾子さんの命日・・・

12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」

今回の「母」公演では、綾子さんの声は聴こえなかった。

姿も現さず、気配すらなかった。


「あゝ、われ見放されたり」


千秋楽の幕が降りたとき、そんな思いがした。


以前、下手の最前列に後姿を見せてくれたし、

パーキンソン病をおして椅子に座ろうとしている綾子さんを見たものだ。


「雛」の赤レンガ倉庫劇場では、芥川龍之介さんが、

隠れるように、遠慮気味に後部座席に座る姿を見た。


「いい加減な芝居をするな」

・・・そんな声も聴こえなかった。