私の好きな役者(4) | 演劇人生

演劇人生

今日を生きる!

「お前、死ね!」

「それで役者か?」

「馬鹿!」

「ダメだこりゃ!」

「それが芝居か?」

「木偶の棒!」

「こんな役者を食わしてきたと思うと情けないよ」

「お前みたいな奴と一緒の空気吸いたくないよ」


・・・何と言われても、言われないよりはマシなのである。

しかし、言われて反撥し、

やめる役者と、

喰いついて離れない役者がいた。

人格を否定されたと、相手を否定した人もいる。

こんな侮辱を受けるのは耐えられないと去った人もいる。


喰らいつく役者が、次に引き出す言葉は、

「悔しいか」

だ。

何故なら、これには返事ができるから・・・

「はい」

返事ができれば後が続く。

「で、どうする?」

「やります」

「何を?」

「この役をです」

「できないよ」

「できるかどうかわかりません。やるんです」


それから数ヶ月。

「あいつは、たいしたもんんだって言ってたよ」

公演の旅先の食堂で、

「夕べ飲んでる席で、お前のことを言ってたよ」

こんな伝え話を耳にする。

「・・・・」

「嬉しくないのかよ」

「いや、飲んでいての話でしょう?」

「いいじゃねぇか、喜べよ」

「ありがとうございます」


急に飯の味が変わった。


一人になり、台本に目を通す。

「・・・」

おれは役者だ」

を心で呟く。


12月は O・ヘンリー原作「最後のひと葉」
 
好きな役者 リチャード・バートン

 「旅路」「いそしぎ」はよかったねぇ。

 エリザベス・テーラーと共演も多い。

 「じゃじゃ馬馴らし」は傑作だ。