「いい・・・？ 一ヶ月の間に７０キロ台になってきてちょうだい」
「ドクター、申し上げにくいのですが、ぼくって、
水を飲んでも空気を吸っても太るんです」
「あ、そう・・・この前もそんなこと言ってなかった？
・・・だったらこれからの一ヶ月、他のものは一切食べずに
水と空気だけで生活して、またいらっしゃい」
「えっ、じょ・・・冗談ですよ」
「こっちは真剣よ」
「すみません」
「とにかく７０キロ台ですからね」
「冗談じゃないんですね、これは？」
「わたしに、そんな暇ないわよ」
「すみません」
「じゃ、一ヵ月後ね」
「でもドクターは来月の今日いらっしゃってますか」
「来るわよ。楽しみにして・・・」
「・・・・・」
こんな会話をした後、調剤薬局前に自転車を停めていると、
「ほらほら・・・なに楽（らく）してんのよ。歩け歩け」
・・・だと。
だがそう言いながら去てっ行ったドクターの後姿は、
格好よく、とてもスリムだった。
「これじゃ、何言われても文句言えないかァ・・・」
神宮外苑を
に乗り、グルグル回り、
いつもよりちょいと遠回りして帰って来た。
汗ビッショリ！