懐かしき哉 | 演劇人生

演劇人生

今日を生きる!

生まれて一、二ヶ月頃の写真もあったのだが、わけあって失い、
父や母が持っていた数枚のみが残るという寂しい状態である。
記憶に残る情景は脳裡にあるのだが、それだけではやはり寂しい。
昔の写真は勿論モノクロだが、時を経る毎にセピアに変色して、
懐かしさを際立たせてくれたりもする。

高校時代、父にねだって買ってもらったカメラがあった。
ミノルタの二眼レフで、結構値のいいカメラだった。

母親が山形の従兄弟にやったという話を聞いたことがあるが、

その後の行き先は定かではない。

そのカメラで撮影した何枚かの写真は残っている。
中でもお気に入りは、父と母が談笑している1枚である。
先日、部屋を片付けていて、メモなどと一緒に雑記帖に挟んであったものだ。

思わず、「お~ッ…こんなところに」と声を出したが、
気に入ったので引き伸ばし、父や母に見せたのを覚えている。

父と母

父は照れくさそうに一瞥した程度だったが、
母は、「写真では、仲のいい夫婦に見えるね」と言った。
すかさず父は、「見えるって?」
…と言ったが、後のことばはなかった。
そのような光景を思い出しながら、写真に残された一瞬の光景だが、
我ながらいいチャンスを捉えたものだと、今更ながら満足感に浸っている。

貧しかったに違いない当時だが、心豊かな…何かが見えてくる。
このような、当時の思い出も脳裡をよぎる。

埼玉県の飯能という町に住んでいた頃の思い出の写真である。