腰をすえて・・・ | 演劇人生

演劇人生

今日を生きる!

3年越しの恋人づくり…

マネキンでいえば、胴体から下腹部の構成に悩んでいる。

僕の才能不足と感性の乱れなのかもしれない。

・・・・というと、妙な感じを与えてしまいそうなので、

ストレートに書くと、

三浦綾子さんの作品に「青い棘」という小説がある。


その劇化を練っているのだが、

途中から進まない。


丁度娘婿の浮気のくだりだ。


太平洋戦争末期。

北大の予科の学生であった邦越は何とかお国のためになりたいという思いで海軍に志願する。

しかし戦況は思わしくなく、敗色濃い日本軍は、

未婚のものは郷に帰り、思う人あらば結婚して戻って来いとの命令をうけるのであったが下る。


邦越も札幌に帰り、二度と戻れないことを恋人の緋紗子に告げ、

一夜限りと結び合った。


が、江田島に戻った邦越を追い、

始まった本土爆撃の中、緋紗子は江田島にやってくる。


いじらしい二人を見た上官の松村は、

妻に料理を作らせ、ささやかな結婚式を催してくれるのだった。

そのさなか、

江田島は総攻撃にあうのである。

航行不能の戦艦や修理中の戦艦の全ては、

爆撃を受け、のたうつような姿をさらしながら海中に沈められた。

兵士は艦船に乗り込んでも、何することも出来ず、

ただただ戦艦と共に海中に沈めらるのだった。


緋紗子は、この全てを目の当たりにした。

醜い戦争の姿をまぶたに焼き付けてしまった。

それは日本の滅ぶ姿でもあった。


そして広島の原爆を見、

「誰が、こんな戦争を始めたのか・・・・」

そして、

「わたしは、美しいものを見たい」

と、

終戦の詔勅前日、

緋紗子は、

遊覧船に乗り、

夜光虫を見に行くのである。


瀬戸の海に光り輝く美しい光に心打たれたその時、

夫、邦越たちの敷設した魚雷に触れた遊覧船は、

緋紗子を乗せたまま海底に沈んでいくのだった。


戦争は終った。


邦越は、戦争への加担が、

妻の緋紗子をまで殺してしまったという思いを抱えつづけた。


舞台は終戦30年後から始まる。

邦越は旭川北斗医大歴史学教授になった。


いまは更に、それから30年を経過している。

次第に戦争の知らない世代が多くなり、

「わが国には、かつて、不幸な時代があった」

ということすら忘れられようとしている気がします。


戦前世代が姿を消し、

戦中世代も次第に少なくなりつつある今、

戦争で父を亡くし、叔父を亡くし・・・・

まだ、その世代がかろうじて生存している間に、

伝えて欲しいものがある・・・・


その気持を、この作品を通して描くことが出来たらと思うのです。

講談社から文庫本で発刊されている「青い棘」・・・・

なんとか腰をすえて、劇化作品として仕上げたい・・・・


そう思っています。

きょう、これから、頭を素にして、

再読します。


いい作品です。