井戸は生きていた | 演劇人生

演劇人生

今日を生きる!

清正の井1

山手線“原宿”駅には、明治神宮への出口と、

竹下通りへの出口があります。


竹下口を出てすぐ左へ行った突き当りには、

軽井沢や那須へ向かう天皇や皇后が乗り降りした、

御料車用の駅舎があります。

最近は使っていないようですが、

以前と変わらない姿をかいま見ることが出来ます。


明治神宮側に降りると、

週末はコスプレ人種のメッカになります。

ここは、時代の先端を行くマニアッファッションの

登竜門といえるかもしれません。

竹の子族もここで生まれたように思います。


そこから一歩、歩を進めると

鬱蒼とした神社林に包まれる明治神宮に入ります。


この神社林が人工の森だということを知る人は少ないなず・・・

およそ100年前、数万人の人たちが苗木を持って来て植えたのが、

この神社林の始まりだといわれます。


しかし、手付かずの原生林と見まがうようなところがたくさんあります。

毎年落ちる葉や、倒れた樹木も他所に捨てずに、

全部をそのまま林の中に戻しているのだそうです。

掃除の全てを林の木々や、棲んでいる微生物に

お任せしているのだそうです。


そして、営々として培われてきた結果が、

今の明治神宮の神社林なのです。


その一角には、加藤清正が掘ったといわれる井戸もあります。

「清正の井」と呼ばれます。

清正といえば、虎退治で知られています。

その人物が掘った井戸などという話を、

俄かに信じることは出来ませんが、

一方、土木の神さまだったなどという言い伝えを聞くと、

「信じてもいいか」

…という気にもなってきます。


カサカサに乾いたように感じる東京の中にも、

今でも、ささやかかも知れないが、

清水を湧き立たせ続けている井を覗き見て、

かけがいのない宝物を見つけたように思えたのです。