子連れ結婚を悩んでいるMさんへ | 演劇人生

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5歳の子を連れて結婚するMさんへ

Mさん、こんばんは。


二度の結婚をし、二度離婚し、初老の域を越えた僕です。
このような僕が、自らの経験を顧みつつ婚礼に関わり続けています。


結婚1ヶ月近く前に、お二人と会って披露宴への臨み方等を話します。
勿論、司会者ですから進行の話もしますが、婚礼への関わり方が、
お二人にとっては、最大のテーマだと考えていますから、

結婚とは何だろうか・・・このような話が中心になります。

先ず感じることは、結婚前のお付き合いが何年であろうと、
相手を本当の意味で分るのは、お互いに結婚後のことだと思います。
何年となく、全く別の環境で生活をしてきた二人だということを理解する
…この全てを知り合い、不安感を拭い去った上で結婚するなど不可能です。

「結婚前は、両目をあけて相手を見て、結婚後は片目をつむって…」
という祝辞をする方がいますが、全く逆の考えが必要だと思います。
結婚後は、確り両目をあけて、相手のいいところを探すことです。

これは、なるほどと思った、三浦綾子さんのことばの受け売りです。
脊椎カリエスで、身動きの取れないギブスベッドで仰向けに寝続け、
7年間・・・その後も心臓病や帯状疱疹、癌、パーキンソン病と、
病に冒され続けた綾子さんと結婚した旦那さんは、綾子に負担になる
出産はさせられないとして、欲しい子どもも作らない約束を交わしました。

これは特殊な例だとおっしゃる方もあるでしょうが、当たり前の
二人でも、お互いに乗り越えなければならない条件は必ず存在します。

共通のものがあるとすれば、お互いに、生まれたときから、
生きる命と死ぬ命の両方を授かって生きて来た二人が、
残る人生を共にするために結婚しようとしている…
という事実だけのように思うのです。

明日も今日も生きているので、明日も明後日もと思いがちです。
しかし常に死ぬ命を携えて、あなたも、あなたのダーリンも今あるということなのだと、

僕には思えるのです。これは僕も、みんなも同じです。

このことを考えるとき、相手がかわいそうだなどと思うことが必要でしょうか。
これからの生涯を、共に生きようとする人の大切さの再認識だと思います。

手を握り合える幸せを、お互いに確認し合うことではないでしょうか。

何かを期待する以上に、今の一刻一刻を噛み締めて生きること…
それこそが、本当にお互いに求めていることではないのですか?
幸せは求めるものではなく、一緒に創っていくもの…
これから先に残されている、お2人共通の課題だと思います。
Mさんが、真剣に考え、理性に照らそうとしていることは素晴らしいし、

その気持はダーリンにも十二分に通じているのでは?

去年、小学生の子ども二人連れの女性と、初婚の男性との婚礼司会をしました。
男性は、新婦には10年子育ての苦労をさせ、自分はイイトコ取りで済まない
…と言っていました。僕はその時も、これと同じような話をしました。

今年の正月には、4人揃った笑顔の写真の賀状を頂きました。


あなたは二度目の結婚を恥じ、結婚するダーリンを可哀想だと言っています。

僕には、そのようにしか考えられないMさんが可哀想に思えます。

子どもをつくっていながら離婚せざるを得なかったのは不幸に違いありません。

でも、それを不幸のままにしないために再婚を選んだのではないのですか?

<続く>