米国共和党が追加経済対策1兆ドルを提示し、一昨日の株価が大きく上昇しました。

 一方、ねじれ議会での法案成立に時間がかかりそうなことと、企業決算や米中対立懸念により、その上昇分を掃出し、この1週間ではやや下降傾向にあります。

 

 株価が横這いを続ける中、金先物価格は8連騰で$2,000を伺う動きが続いています。

 これも、4月以降に各国で行った、前例のない規模での財政出動による影響です。政府やFRBによる資金供給・給付金が、市場に資金をダブつかせ、当初はリスク資産に流入。3ヶ月経ち、国の借金が見たこともないほどに膨れ上がっていることに気が付き、貨幣価値の低下を気にし始めたようです。

 

 下図は、米国政府の負債の年額と金価格の推移を示したものです。

 昨年までの50年間、金価格が負債年額の推移に寄り添って動いてきたかのようにも見えます。

 '00年代の前半に、金価格が低迷した時期がありました。

 これは'90年代前半に膨らんだ財政赤字を減らす努力が実り、'01年予算では無借金となるほど財政が健全化した時期に当たります。

 

 それ以降、米国政府も毎年赤字財政に陥り、リーマンショックで赤字がピークを迎えました。これに呼応するかのように金価格が上昇し、$1,900付近まで到達しました。

 '15年にかけて、財政の健全化が図られて金価格も落ち着きを見せていましたが、そこに今回の新型コロナウィルス騒動となり、前例のない財政支出が実施されました。

 

 この図からすれば、金価格の上昇はこれから…にも見えます。

 識者は$2,000前後で一旦落ち着くと見ているようで、これも、今年度の急増は一過性のもので、来年度には負債年額が急減するとの予想からのようです。

 

 しかし、本当にそうなのか、コロナショックの事後処理が長引くと金価格の上昇もまだこれからかもしれません。

 コロナ後の世界秩序が大きく変わろうとしており、米中対立激化で、中国がドルから金に主体を移し続けるならば、金価格はそう簡単には元に戻らないかも・・・ 

 経済活動再開に従って感染者数が急増していることに懸念が広がり、再び自主的な活動自粛になりつつあります。それは第1波時とは異なって社会的な対応策が全くないためであり、自らで守らないといけないからのようです。

 

 活動自粛と継続的な不安から、ある程度金銭的余裕のある世帯での給付金が消費に回らずに投資に回っているようで、6月第2週以降、個人投資家の現物株買いが続いています。

 一方、国内株式市場を牛耳ってきた海外投資家は基本的に現物株売越し基調で、同じ6月第2週以降でも1兆円近い売越しになっています。

 

 海外投資家の売りを日銀と個人が買い支えている状況ですが、この傾向は今年の1月から延々と続いており、累計で4.5兆円売っています。

 '13年から、海外投資家がアベノミクスに乗って日本株を買い続けてきましたが、'15年以降から今に至るまで、日本株売りが続き、現物株では、'13年の水準まで売り切りました。

 

 それを見て、アナリストの中には売りが終わったと見る向きもあるようですが、本当にそうなのでしょうか。

 下図に、東証が発表している投資部門別の株式保有金額の推移を示します。

 海外投資家の保有金額は約160兆円あり、東証時価総額の約30%を占めています。また持ち株数では、8.8兆株とぜんたいの1/4を占めています。

 一方、最近急増しているのは日銀さん。投資信託項目の'13年以降の保有金額増加は日銀のETF買いによるもので、33兆円まで膨らみました。

 

 この日銀の支配力が大きくなることが海外投資家の投資意欲を減退させており、こうそろそろETF買いの出口を明確にしてもらいたいものです。

 もちろん、それで一旦は日本株売りになるでしょうが、4,000円も下駄を履いていると言われる現状が偽物なら、一度正しい状況に戻さないと、本当の意味での日本経済の再生は有り得ないと思われます。

 日経平均株価は6月の軽い三角持ち合いを上に抜け、7月はレンジ内でも緩やかな右肩上がりとなっています。

 6月高値を抜けられなければ元の黙阿弥。

 

 国内でも感染第2波が到来し、それでも経済活動が止められないジレンマの中、無策状態が続いています。

 第1波での日本にしては強力な締め付けの後だけに、第2波初期の対応の遅さを見ると、第2波の山が恐ろしく高くなりそうです。

 迅速な対策が山の高さを低くすると知っているはずなのに。

 

 この新型コロナ騒動の中でも堅調なのがIT産業。出勤停止で自宅のオフィス化とそのアクセス関連事業が伸び、半導体関連が活況でした。もう山を越えた?

 

 下図は日経平均株価とフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の推移を長期と短期で示しています。

 日本の株式市場は従来より、このSOX指数との相関が強く、長期推移でも'00年から'15年にかけて、ほぼトレースするような動きとなっていました。

 それが、'16年以降、日経平均株価画だけが取り残される格好になり、AIや5G関連の技術の弱さが露呈してしまいました。

 

 一方、短期で見ると、3月の急落以降の日経平均株価の回復は、SOX指数にサポートされたようにも。それでも、SOX指数が年初水準を上回っていることに対し、日経平均株価は若干弱い。

 今後、もし新型コロナの再燃拡大でも半導体需要は強そうですし、半導体製品は米中経済戦争の本丸でもあるので、余剰資金が流入し続けそうです。

 これに乗じて日本株も上昇できるのか・・・それとも再度取り残されるのかな。