中国が株価の吊り上げに走り、米国の景況感の改善を追い風に、NASDAQは天井不知の勢いです。

 利の薄い債券から逃げ出した資金が株式市場に流れ込み、テスラの時価総額がトヨタを抜いたり、茅台酒メーカーの時価総額がトヨタの1.5倍だという話を聞くと、やはり異常に思えます。

 

 下図は、ダウ平均株価とISM製造業指数(PM I)や雇用統計の非農業部門雇用者数の推移を示しています。

 6月に製造業企業の景況感が改善し、PM Iは50を上回りました。底を付けたとばかりに、市場は好感しました。

 

 図では、景気上向き下向きの分かれ目である50を差し引いたPM I - 50の積算値をダウ平均株価の動きに合うように軸を選んでいます。

 この40年間にわたり、ダウ平均株価はPM I - 50の積算値をトレンド線として、その上下に振れながら上昇を続けてきました。

 

 今は株価の方がやや高めにいますが、そこそこ良い水準なのでしょう。図からわかるように、PM Iが1改善するとダウ平均株価は25上昇する勘定になります。

 ダウ平均株価が$30,000を常にキープするには、あと$5,000近い上昇が必要であり、このためにはPM I - 50が積算で200上昇しないといけません。PM I が60の水準でも20か月かかることになります。

 下側の図は、雇用統計の非農業部門雇用者数との関係を示しています。先月、+480万人と、大幅な改善を示しました。2ヶ月連続の大幅改善を市場は好感しましたが、青い矢印に示すように、コロナ災での落ち込みの1/3を戻したにすぎません。

 一方の株価は、既に大きく戻しましたが・・・

 

 雇用者数の推移でも、ダウ平均株価は雇用者数実数にしっかり寄り添って動いてきました。

それが今は株価だけが高止まりしていて、雇用者数が早く元に戻ることを催促しています。

 FRBへの催促と違い、実体経済は株価の催促は気にしません。

 

 今回、例えV字回復が実現するにせよ、年単位の時間がかかる可能性が高そうです。

 市場が、その時間差を待てるのかどうか?

 その支えは、結局のところFRBの超緩和策であって、今の状態が数年続くような雰囲気。

 気持ちの悪い株価と実体経済の乖離も数年続きそう。

 

 6月中旬以降、日経平均株価は22,300円を挟んだ動きが続いています。そろそろ三角持ち合いの頂点に達しそうで、5月の上昇後の三角持ち合い形成となっていたことと、25日~200日移動平均線が右肩上がりで推移してきたので、上離れを期待したいところです。

 

 しかし、やはり第2波懸念。米国では、まだ第1波では?とも言われていますが、 世界的にも最悪と感じられた4~5月の約2倍の感染者数となるなど、流行が加速するばかり。インドと米国がひどい。

 日本も感染が特定業種経由に偏っているとは言え、昨日の138人は感染爆発前の3/28レベルであって、一歩間違えれば、第1波を超える事態になりかねません。

 首長の自己利益のために判断が歪められてはならないでしょう。

 

 日本の株式市場は米国市場のコピーにすぎず、その米国市場はFRBと米国政府の施策に大きく依存します。そうは言っても、米国の株価指数も、そんなには実体経済からかけ離れて動くこともできません。

 

 下図は、ダウ平均株価DJIAと米国の消費者物価指数CPI、WTI原油先物価格の推移を各々前年同月比比較で示しています。

  

 この20年間でも、何度もダウ平均株価が前年同月比で大きく棄損した事例が見られました。その多くの事例で、米国の消費者物価指数が低迷し、その低迷の原因に、WTI価格が寄与することが多くありました。

 今回も、春先の株価の急落の原因の半分に、サウジの強硬姿勢による原油供給過剰がありました。

 

 ダウ平均株価は、前年同月比で-3%程度まで回復しましたが、これはCPIが0%近傍に相当します。またWTI価格では前年同月比で-50%の水準です。

 従来の株価回復では、CPIの回復に遅れるか、または同時であったことが図から読み取れます。

 

 今回、この先、ダウ平均株価が上昇基調に戻るためには、先ずは0%近傍をうろついているCPIが1%程度にしっかり回復することが求められます。しかし、このCPI低下の主因である原油価格は? 今は少し落ち着きを取り戻したものの、$40の壁に阻まれています。

 あと$5戻せば、前年同月比で-25%にはなるのですが・・・もう少し時間がかかりそう、とすれば、株価もレンジ内をうろつき続けそうです。

 世界における一日当たりの新型コロナ感染者数は21日に18.3万人をつけ、依然として南北両アメリカ大陸とアフリカにて猛威を振るっています。その一方で、景況感改善からNASDAQは高値を更新。

 経済中心地での経済回復期待が株価の支え。

 

 株価上昇の支えは日米欧の各中銀施策と大規模な財政出動にあります。企業は社債等で資金を確保し、家計も支出を控えているために市中銀行に預金が積み上がり、それがリスク資産買いに動くので、実体経済以上に株価は高値をとることになります。

 

 その中で、日本国内では日銀によるETF買いが続いています。

 下図は、日銀によるETF買付の推移を示しています。昨年暮れ頃は、買入ペースがかなり鈍化していましたが、新型コロナ危機となった3月以降、年間12兆円に買入ペースを高め、この3ヵ月で3兆円強分のETFを買いました。

 3/19の株価最大下落時には、約1割の損を抱えましたが、年度末に損を出すわけにいかず、必死の買入介入で株価を戻しました。大底での買いにより、今では保有額が35兆円を超える過去最高額となり、損益も推定9%にまで辛うじて回復しました。

 

 でも、損益率が一桁では、今後のちょっとした下落にも耐えにくくなり、薄氷の運営(買付けるだけですが)になります。

 損益分岐点は推定でTOPIX換算1,450辺り。これは200日移動平均線付近ですので、200日移動平均線を引き上げることが日銀の目的になりそう。

 

 このETF、いつか売ることになるのか、否・・・もう売ることはできないでしょうから、政府に買ってもらうしかないですね。政投銀か何かに移管して、その金額分の国債を日銀が保有すれば売らずに済むでしょう。

 国内の企業の多くに国の意思が入ってくるようになり、日本型社会主義国家に。しかし、経産省の知恵は劣化してきているので、変な意思が入ると、経営も業績もおぼつかなくなりそうです。

 

 年間12兆円買いを宣言したものの、いくら日銀でも高値で買いたくはないでしょう。

最近の一日当たりのETF買いは、既に12兆円買い発表前の1,001億円/日に戻りました。黒田総裁の任期はあと3年。広げた風呂敷はちゃんと畳んでくださいね。