FRBは'22年まで今の超低金利政策を続けることとなり、市場はジャブジャブ資金の行く先を再び模索しなければなりません。余剰資金はまずは株式市場に流れ込み、世界景気や政治リスクとは無縁の高値追いが続くことでしょう。

 古の人々はこれが"バブル"と言うのでしょうけれど、渦中に居れば、その適温に慣れて鈍感になってしまいます。

 

 下図は、米国10年債利率とダウ平均株価の推移を示しています。左軸の10年債利率は、上方が低金利となる逆メモリで描いており、右軸のダウ平均株価は対数軸となっています。

 米国10年債利率は、この40年近く低下傾向(図中では右肩上がり)が続き、先々の低金利が市場資金を膨れ上がらせてダウ平均株価も上昇を続けてきました。

 今はゼロ金利を十分に織り込んだ水準で、これ以上に株価が上昇するためには、マイナス金利導入しかありません。しかし、FRBはその効果に疑問を呈しており、余程のことがない限りマイナス金利を導入することはないでしょう。そうなると、ダウ平均株価は$30,000で頭打ち。

 マイナス金利の催促を市場がすることになる?

 

 また、先々"正常化"で金利を戻そうと考えても、その瞬間に市場が強く反応したトラウマがあるので、もう金利を上げようなどとは画策しません。

 次のバブル崩壊で、金利政策がお手上げとなるまで、金利の上昇はないのかも。

 株式市場は、各国の強烈、想定以上の、もの凄い、財政・金融政策に支えられ、NASDAQは最高値10,000超えを記録しました。

 実体経済が弱い中、ジャブジャブとなった投入資金の行く先は、リスク市場にしかありませんので、実体との乖離はどんどん進みます。

 "緊急措置"であるはずの財政・金融政策の矛をどう収めるのか。米国では大統領選挙までは、そのことを口にすることはできないでしょう。

 

 一方、米国の経済研究所(NBER)は、米国経済が'20/2に景気後退に入っていたと発表しました。'09/6からの長期に渡った景気拡大局面が終了しました。

 下図は、日米各株価指数の推移に米国の景気後退期を重ねたものです。

 ダウ平均株価は、当然のことながら景気後退局面では株価を下げてきました。過去8回の景気後退期中での株価の下落率は中央値で1割ほどであり、後退期中の最大下落幅は、リーマンショック後の-41%です。

 

 今回、コロナショック前に、既に景気後退入りしていたのですが、コロナショックによる株価下落率が-17%と、既に過去の事例でも深刻な数字を記録しました。

 しかし、この2ヶ月半で既に急V字回復を果たし、景気後退入りも何のその。

 それもこれも、財政・金融政策の賜物。

 景気後退も吹っ飛んでしまったのかも。それなら、株価下落はもう終わり???

 

 しかし、強引な株価制御となったのですから、政策終了の宣言が難しい。

 今までとは異なり、日銀のようにステルス的に緩やかに終了させることになるのでしょうね。

 日経平均株価は急回復も、捨て子線になりそうな前場の終わり方です。

 まあ、調子が良く見えるのは、米株とリスクオンの円安地合いからなのでしょうけれど。

 

 米株の上昇も、各地で発生している暴動と収束が見えないコロナウィルスや対中強硬姿勢の悪材料を殆ど無視し、FRBの金融政策と政府財政政策だけを好感してのこと。

 これらが米国内の雇用回復で一気に片が付くのか、それともL字型回復となって火種が延々と残るかで、秋の大統領選挙の行方が怪しくなっていきます。

 

 そのような不透明さが増せば、先行きの不透明感を嫌う株式相場が、ふと我に返らざるを得ない局面を迎えることになります。

 

 下図は、日経平均株価と円換算のダウ平均株価の推移を示しています。

 新型コロナショック以前、日経平均株価は、(円換算ダウ平均株価/100 - 7,000)の推移にほぼ沿う形で推移してきました。

 それが、大規模施策以降、コロナ後に目が向き始めると、日経平均株価の方がダウ平均株価よりも若干高めとなる動きに変わりました。

 これには両国の感染者数、死亡者数の違いもあるでしょうし、日銀やGPIFの株価市場への資金注入の影響もあるでしょう。

 

 日経平均株価と円換算ダウ平均株価/100の比も、新型コロナショック以前の0.75±0.03のレンジから、0.8前後へと日経平均株価優位へと変わりました。

 しかし、この株価比は両国の経済力の差を表しています。長期で見れば1→0.75への低下傾向となっており、それほど遠くない時期に再び0.75近傍に戻ってしまうと考えられます。

 その時には、米株が更なる上昇傾向となったとき、日経平均株価が直に追従できなくなることでしょう。

 

 米株上昇に大きく依存する日経平均株価、戻りが急ピッチでした。しかし、不安材料が増え続ける米国の動き次第。まずは、捨て子線を形成しないように。

 今晩の米国市場がストンと落ちなければ、単なる杞憂に終わります・・・