つづきです。
私は姑に事の経緯を伝えた。
「そう。〇〇最近家の車を勝手に乗り回してると思ってたら。そんな事になってたの。
piyoちゃんさ、ちょっと気晴らししない?来週の休みにお友達とお台場にイルミネーション
見に行くの。piyoちゃんも一緒に行こうよ」
どうせ休みの日も、彼は車を乗り回し、私を置いてどこかへ行ってしまうのだろう。
行かないでとすがったりもしたが、私の手を振り払い消えてしまう。
何度か原チャリで追いかけたが、到底車には追いつけなかった。
私は姑の誘いにのった。
当日。
姑と、姑のパート先の友人(女性二人)、そして知らないおじさんがいた。
このおじさんは誰だろう?・・・ふと思い出した。
彼と一緒に地元を歩いているときに、挨拶した覚えがあった。
確か、近所で土建屋をしているおじさんだ。
彼は職人だったのだが、その就職先を紹介してくれたのも
そのおじさんだったはず。
何故、土建屋のおじさんが?
日中はお台場で遊んだ。
私は違和感を感じた。姑とおじさんを見ていると恋人同士のような気配を感じる。
明らかに他の友人たちに向ける視線と、姑に向ける視線が違うのだ。
夜になりイルミネーションを見に行った。
あれ。いつの間にか姑とおじさんがいない。
姑を探す。
すると、イルミネーションを見る姑の後ろにピタリと寄り添い
腰に手をまわすおじさんの姿があった。
完全に二人の世界に入っていた。
パート先の友人達が、私の所にきた。
「〇〇ちゃん(姑)とさ、〇〇さん(おじさん)10年近く付き合ってんだよ。
旦那さんも、子供たちもかわいそうだよね・・・。」と。
私は複雑な気持ちで二人を眺めた。
そういえば・・以前姑の指輪を借りたときに
刻印されていたK&Kの文字。
おじさんの名前は「けんじ」だった。
ふと、家でウイスキーを一人で飲む、寡黙な舅の姿が浮かんだ。
おそらく、舅は知っていたのではないかと思う。
嫁が外で男を作って遊び惚けていることを。
その後に、地元のスナックに連れていってもらった。
姑が歌った曲は、テレサテンの「つぐない」
「愛をつぐなえば 別れになるけど こんな女でも忘れないでね。
優しすぎたのあなた 子供みたいなあなた 明日は他人同士になるけれど」
人の傷をえぐるような選曲
夫や家族を裏切り、10年も不倫している姑。
そんなくそBBAに、人(嫁)を思いやる気持ちなど微塵もない事が
何故わからなかったのだろう。
このBBAと過ごし、気晴らしどころか、益々気分が悪くなっただけだった。
深く後悔した1日だった。
その後も
離婚協議とも言えない。話し合いでもない、激しい争いが続いた。
私は過呼吸になって、深夜病院に運ばれた。
その時に担当してくれた看護師さんは、ただならぬ状況を察したのか
私の話を親身になって聞いてくれた。
「彼が急に変わってしまった。何がなんだか分からない。今まで私を大切にしてくれていたし
私も彼だけを見てきた。今も女と会ってるかもしれない。どうして、どうして。」
泣きながら、思いを吐き出す。
すると、その看護師さんは
「そんなに好きなら、一緒にいさせてくださいって土下座すればいい。
相手を責めても変わらない。そこまで、自分はあなたが大切なんですって思いを本気で伝えないと。
そこまでやってみた方がいい。あなたが後悔しないように」と言った。
家に帰った。
私は、寝ていた彼を起こして
床に頭をこすりつけた。
つづく
(次回も暴力描写がありますので、アメンバー限定になります)