添い寝している彼の顔を見たときに、
とても冷静な気がして、不安になったりもした。
「あそばれてるみたいな気がする。
あそんでない?」
と、いつもの敬語ではなくタメ語で、
彼の腕の中で聞いてしまった。
--------------------
彼は少し微笑んで
「そんなことないよ。遊んでなんかいないよ」
と言った。
そのとき私は知らなかったけど、彼自身は
自分が結婚しているから、私とした行為がどういうことなのか
わかっていた。
だから、ムキに否定もしない、でも肯定もしない、
軽く否定しておく、という反応だったんだ
と、後になってから私は思い返した。
そのときの軽めの「遊んでなんかないよ」に
私は違和感を感じた。
後からではない、そのときに。
「遊んでなんかないよ」と言ってもらってるのに
なぜか全く安心できなかったのだ。
でもまさか、彼が結婚しているとは、
まだ私は、そこまでは考え及ばなかった。
2時間くらい抱き合って、その夜は別れた。
抱き合えた満足と、彼への恋心で、
その後の毎日が支配されているような感覚だった。
メールのやりとりも、嬉しくて、嬉しくて、
待ち望んでしまうくらいだった。
そうして、その次に会ったのも、夜だった。