あの世の入り口 加西市 十王堂 | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

あの世の入り口 加西市 十王堂

  私が石棺仏取材をした頃は、検索サイトで「石棺仏」と入れてもほとんど出てこなかったものですが、今では108000件。めちゃくちゃ増えました。
 私の『笑とる仏』の功績でしょう。笑
 にもかかわらず、私のブログ記事はグーグルで2ページ目の最後の方…
 当時からアメーバの検出されない能力ってホントスゴイんだよね…
 『笑とる仏』出版当時も随分、はがゆい思いをしました。
 もっとも、私も近頃は仏系の記事、書いていませんが…
 でもゴールデンウィークに、散策される御仁もおられるようで、私の記事の来訪者も若干ですが増えているようです。

 昨日は母とバラ園のバラを見に行こう!ということで行ってみましたが、バラ園のバラはまだ咲いておらず、その足で加西市の十王堂に行ってきました。

 この十王堂。『笑とる仏』の取材の時に偶然見付け、「おぉ!!!十王だ!!!!」と驚き脳裏に焼き付いていましたが、撮影できる穴が3cm角くらいの格子窓2つだけで(あとは曇りガラス)レンズが入れられず、撮影できなかったものです。

 ちなみに十王とは、亡くなってから出会う、十人の裁判官で、有名な閻魔様は五番目の裁判官に当ります。  (なのでこんなヤツラは地獄行き。)

 なぜか、去年からこの十王が気になっており、去年、加西市来訪の時は、出会いにインパクトがあったので、場所は覚えているだろう…とカンで訪れるも、やはり出会えず!爆
 今年、もう一度、私の石棺仏地図を見直して、記憶を甦らせやっと再会できたのです。

 5月の光りの中、田舎の道をキョロキョロしながら、ゆっくり車で走っていると、遠くでこの小さな御堂を見付けた時の感動といったら…。
 どうです。広大な田んぼと山、青い空の下で、ポツネンとあるのです。


 ここたぶん、パワースポットだよ。
 なんたって、あの世の番人達ですから。あの世の入り口!

 お寺の中ではいざ知らず、こうした野辺に十王だけを安置した形式は、私の知る限り播磨ではここだけです!

 『遠野物語』の九七話に、臨死体験した魂が、菩提寺へ赴く記述がありますが、来世を祈念して造られた石棺仏の祈願者の魂も、この十王堂に集約、経由してあの世へ行っているのではないか?とさえ思いました。なんたって最高裁判所ですから。笑 

 ここへ、母を連れて行きたかった訳です。
 おそらく、私より先に母が亡くなるだろうから、十王の前で「この人、ちょっとボーッとしてますが、とってもいい人なので、亡くなってから、よろしくお願いします」とお願いしておきました。笑
 石棺仏や天使の魂を集めてきた私ですから、きっと聞き届けてくれるでしょう。笑

 今回はレンズの入らない、一眼レフカメラではなく、ボロボロのコンパクトカメラなので、格子の中にレンズが入り、撮影することができました。
 格子とレンズの画角上、10体全員を入れることはできません。
 という以前に、10体どころか13体もあるのです!

 これは十三仏と関係しています。
 十三仏とは、中国伝来の十王を元に、日本で考えられた、亡くなってから三十三回忌までに出会う十三体の仏達のことです。
 十王と十三仏もそれぞれリンクしています。
 ちなみに、十三仏関連の石棺仏はこれこれね。

 そういえば、この十王堂の近くに『笑とる仏』107ページで紹介した石棺仏の普明寺の十三仏があるので、この十王堂は普明寺と関係があるものかもしれません。
(ちなみに、昔はお葬式の前に、こうした十王に祈念してからお葬式したといいます)

 説明書きの立て看板等も無いので、この十王がどれほど古いものかも判りませんでした…(おそらくですが、江戸期頃と思いますが…??木像です)詳しい方、いらしたら教えてください。
 (と、言うか今思うと普明寺に聞きに行っても良かったのですが、母も居たので…)

 そしてこの十三体の十王?? の中に奪衣婆が居ます!?
 (格子の為、撮影できず、右端にいるのですが…)
 「奪衣婆」も十王の一人だったのか??と思い、調べてみると、やっぱり奪衣婆は十王ではありません。

 要は、閻魔大王みたいに、インパクトのあるキャラクターを入れたかったようです。笑
(閻魔にちょっと寄ってみました)


 どうやら全国の十王の像や石仏にも、奪衣婆が含まれているケースは多いようです。
 閻魔の恐い顔や、奪衣婆の恐い顔を見ると、子供はビビるでしょうしね。笑

 お近くにお住まいの人は、この十王堂、見に行ってもいいかもです。
 素朴でいいですし、パワースポットです。
 十王堂の近くには、普明寺もそうですが、『笑とる仏』26~27ページの巨大な春岡寺の石棺仏もあります。全長186cm。
 ここも再会しようと思いましたが、母の足の具合を考えて今回はパスしました。
 
 バラ園へも行けず、結局、十王堂にしか行ってないのですが、私は充実した散策でした。十王に母のことをお願いできただけで大満足です。笑 

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