そういえば、「社会」でわたしがしている仕事について、詳しく語ったことがないように思う。
書く仕事をしているらしい、広告の仕事らしい、大学で教えているらしい…という認識で充分なのだけど。「社会」での姿も、わたしの「本質」というものも知ってもらうことで、ひとかけらでも伝わることがあるかもしれない、とふと思った。
職業はコピーライター(copywriter)、訳すと広告文案家。広く告げるための文章を書いたり、考えたりする人を指す。
コピーとは、広告文のこと。伝えたいことのある人(広告主、クライアント)が、伝えたい相手(ターゲット、顧客)に、伝えたいこと(見て!買って!来て!わたしを選んで!ずっと愛して!など)を、伝わるように伝えるためのサポートをするのが、わたしの仕事だ。
求められることは、クライアントの要望を聞き取り、商品やサービスの良さを知ってもらうために魅力的な文言を書くこと。言葉で魔法をかけること(もちろん、魔法の言葉なんてない)。Webサイトや印刷物(リーフレット、チラシ、パンフレット、広報紙…)、商品のパッケージなどに記載する文章を書く他、告知活動に至るまでのプロジェクトやキャンペーンそのものの作戦を一緒に考えたりもする。
ひとつひとつの案件はたいてい、「パンフレットを作りたいんだけど…」など特定の媒体の制作依頼から始まる。
まず、クライアントについて調べる(知りたいから)。Webサイトで理念や事業内容、採用情報などを見る他、メディアに取り上げられていないか、記事を探す。
そして、クライアントのところへ出かけて行く。パンフレットならパンフレットを作る目的、現在の状況、課題点、対象者、商品やサービスの魅力・こだわり、競合他社や類似商品との差違など…色んなことを聞く。直接の担当者と話すだけでなく、そこで働く人たちの様子やオフィス周辺の環境など、その場で体感できることはすべて体感する(知りたいから)。
商品をアピールしたいという場合は、該当商品や類似商品が販売されているところを見て回る。どんなお店で、どう陳列されていて、どういう人が、どんな風に買っていくのか、または買わないのかを(あやしまれない程度に)観察する。
ここ数年は、商業広告よりも、行政・福祉・教育機関などからの依頼が増えている。たくさんの人々に必要とされている取り組みをしているのに、なぜか伝わらない、認知度が低い…という悩みごとが多く舞い込む。
クライアントが望むとおりに、言われたことを言われたとおりに進めれば負担は軽いのかもしれないし、作れば作るほど、数をこなせばこなすほど儲かるのかもしれない。
けれど、わたしにはそれができない。いちいち、本当に伝えるべきことは何なのか、伝えたい相手はどんな人なのか、その人たちをどう幸せにしたい(できる)のか、どうすれば伝わる可能性が高まるのか、本当にその媒体が最適なのか…を考える。すると別の作戦を立てるべき、という結論に至る場合が多く、制作物が変わったり、プロジェクトを根本から考え直そうということになったりして、結果的に時間がかかる。
→職業は自分ではない、仕事が人生ではない、と分かってからは肩の力が抜けたと思う。
作戦を練る工程を経て、制作段階にさしかかると、デザイナーさん、カメラマンさん、イラストレーターさんとの細かいやりとりも行われる。
うわぁ、やばい、真面目に書きすぎている。このブログで伝わったらいいなと思うのは、こんなわたしですが一応、社会で仕事をしていますよーということ。ちゃんとできているのかどうかは、自分では全然分からない…。
その他、コピーライターとして“書く、聞く、話す、考える”を支える仕事をしているという実績から(?)、大学で非常勤講師を務めている。高校や小学校でインタビューやキャッチコピーの作り方を伝える授業をしたり、行政・福祉・教育機関や企業などで広報セミナーを担当したりと、ここ数年、講師業の依頼が増えているのは我がことながらおもしろい。あんなに、人が怖かったのに!
今日書きたかったのは、この先のことだったんだけど…またしても、想定とは別の内容に。
それに、昨日のブログからの流れなら、今日のタイトルは「出戻り1号」であって然るべきなのかもしれないけれど。眠って起きたら、ころっと気が変わっていたのでした。ごめんなさい、いつか書きます…ううん、書くかもしれません。
*昨日のブログ:わたしという存在を見てもらうしか。
https://ameblo.jp/kaori-191210/entry-12622812068.html