「ストレス太り」について考える | 自由の翼 Die Flügel der Freiheit

自由の翼 Die Flügel der Freiheit

日々感じること、思うこと、考えること、私が私であること。

 

前回の記事「ストレスホルモン(コルチゾール)とセロトニンやドーパミンとの関係」ではコルチゾールというストレスホルモンとドーパミンやセロトニンとの関係について考えてみました。今回はこのコルチゾールや報酬系の脳内物質であるドーパミンが一般的に「ストレス太り」と言われている状態に何かしら影響しているのではないかということについて考えてみたいと思います。

 

実は私が大学で「健康医学」という講義を受けていた時のことですが、講師の医者が「ストレス太りなんて無い。それはただの食べ過ぎによるカロリーオーバーで本人の意志の弱さだ。それをストレスのせいにして言い訳をしているだけ。」という話をしていたのが強く印象に残っています。その時にも私は、橋本病のような甲状腺機能低下症では基礎代謝が下がったり強いむくみが出たりして体重が増加するという話を思い出して、肥満にホルモンや脳内物質などの影響もあるのではないかと疑問を抱きました。

 

そこで今回はストレスホルモンのコルチゾールと、脳の報酬系の脳内物質であるドーパミンがストレス太りに影響している可能性を考えてみようと思ったわけです。

 

前回の記事でも書きましたが、コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるストレスホルモンの一種であり、ストレス反応や免疫反応に関与しています。コルチゾールは、ストレスによって放出され、体内のエネルギー源を増やし、免疫反応を抑制することで、ストレスに適応する役割を持っています。

いくつかの研究によれば、長期間にわたるストレスにさらされるとコルチゾールの分泌が増加し、脂肪細胞の増殖や代謝の変化などが引き起こされることが報告されているようです。また、過剰なコルチゾール分泌は食欲を司る脳の視床下部を刺激することがあるため、肥満のリスク増加とも関連するとされています。

 

そもそもコルチゾールにはストレス下においてエネルギー源を増やすために血糖値を上げる働きがあるということを考えると、上がった血糖はインシュリンが余計に出て糖を蓄えやすい脂肪に変えて身体に取り込むわけですから、ストレスが長期間続けば肥満に繋がるのは当然そうなるのだろうなという感じです。


一方、ドーパミンは中枢神経系において重要な役割を持つ神経伝達物質の一種であり、報酬系や運動制御などに関与しています。ドーパミンの欠乏は、うつ病やパーキンソン病などの神経精神疾患の原因の一つとされています。

肥満においては報酬系の異常が関与しているのではないかとされています。具体的には食事や脂肪摂取によって報酬系が活性化され、快楽や満足感を得ることができるため、食べ過ぎが生じることがあるということです。

いくつかの研究によれば、ストレスを感じているときに食べ物を摂取することで脳内のドーパミン放出が増加し、快楽や報酬を感じることができます。一方で長期間にわたる食べ過ぎによってドーパミン受容体が減少し、報酬系が異常な状態になることが知られています。

このような状態はドーパミン受容体の減少に伴って起こり、繰り返せば繰り返すほど食べ物や脂肪を摂取しても以前ほどの快楽や報酬を得られなくなるためにより多くの食べ物を摂取することが必要となるということです。このような脳の報酬系の異常といったネガティブな影響が肥満のリスク増加につながる可能性も否定できないのではないでしょうか。

その他、コルチゾールの過剰な分泌は肥満以外の健康問題、たとえば心血管疾患や糖尿病、高血圧などのリスク増加とも関連することが報告されていますし、またドーパミンの過剰な分泌については以前の記事でも書きましたが、依存症、 幻覚や妄想、不安感、興奮などの症状が現れることがあるようです。

 

このようなことも併せて考えると、無理なダイエットのリバウンドは依存症の再発とも似ているように思えますし、楽しく続けられる範囲を超えた過度な運動は逆にストレスになってしまい、コルチゾールを増やしてリバウンドに繋がるという可能性もあるように思われます。

 

また、これもストレスの影響と言えるだろうと思いますが、最近いくつか「他人から太ったと言われると余計に太る」という結論の論文を目にしました。これは「ファットシェイミング (太っている人をけなすこと) 」といわれており、コルチゾールの増加が体重増加の原因として挙げられていました。

 

とても近しい関係、親子や兄弟、仲の良い友人などの間では「貴方のことを気遣っているよ」というつもりで「太った」「痩せた」「顔色が良くない」などの言葉をつい言いがちになりますが、こういった言葉は相手にとってストレスとなって余計に太る、体調について不安にさせるなどの悪影響も実際に起こるだろうということです。

 

まとめますと、ホルモンや脳内物質の影響によるストレス太りは実際に存在するでしょうし、単なる本人の意思の弱さだけで太ったりリバウンドしたりするわけではないかもしれません。つまり摂取カロリーの収支だけで体重の増減が決まるわけでは無いのだろうというのが私の結論です。

 

ストレス太りを避けるには、まずストレスの多い状況から脱することでコルチゾールレベルを下げること、人間関係を含めて長期的なストレス過多の状態を避けること、またストレス発散のために食欲を満たすことを繰り返し、それを報酬にしないということが大切なのではないかと私は思います。

 

 

本サイトのAuto-Groove はこちら

Auto-Groove

 

私のプロフィール詳細はこちらからご覧ください。

プロフィール詳細

 

DTMで曲作っています。現在27曲。こちらから聴けます。

Soundcloud Kaoru11

 

Youtubeで曲の動画も公開しています。

Youtubeチャンネル

 

フォローしてね…

 

私の愛読書です。時間をおいて読み直すごとに、違う学びを得ることが出来ると思う本を4冊
ピックアップしました。自分と向き合うために特に役に立つ本だと思っています。