(写真は記事とは関係ない。2025/4撮影「利休梅」)

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読売新聞 朝刊 2025/7/19

記者:藤本隆史さん

記事:「医療ケア児殺害 猶予判決」

 

 

 

事件の判決を聞いた時、誰しも思うことは同じだったろうと思う。

この痛みは忘れることはない。

 

 

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たとえば、

自立した車いす移動の方は、地方でもわりと普通に見かけるようになったと思う。

それでも、その人たちが外出時に何に困っているかを、考えることもない。

 

普通に暮らしていると、重度障がいを持つこどもを見かけることは、まずない。

見かけても、知識がないから、その障がいが、

たくさんの支えを必要としているということを、知らない。

 

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知らないけれど、自分なりに想像してみる。

 

きっと、母親を追い詰めたのは、家族ではなく、

大きな、目に見えない、立ちはだかった、壁。

 

 

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(以下、新聞記事   名前 以外は全抜粋)

 

 

■「医療ケア児殺害 猶予判決」福岡地裁「母親に 法定刑を下回る」

 

福岡市博多区の自宅で医療的ケア児の長女(当時7歳)の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪に問われた母親の    被告(45)の裁判員裁判の判決で、福岡地裁は18日、同罪の法定刑の下限(懲役5年)を下回る懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。井野憲司裁判長は「結果は重大だが、昼夜を問わない介護を5年以上続け、疲労の蓄積は察するに余りある」と述べた。

 

判決によると、    被告は1月5日、自宅で国指定の難病「脊髄性筋萎縮症」のため、自発呼吸ができない長女の  さんの首に挿入された人工呼吸器を取り外して殺害した。  さんは2017年の出産当初から、脊髄性筋萎縮症の中でも最重症で、生命の維持には人工呼吸器が必要不可欠だった。

 

事件2日前、介護に協力的だった夫に介護の手伝いを頼んだ際、初めて介護が負担であるかのような発言を受けたことが引き金となり、「  と自分はいらない存在」と思い詰め、心中を考えるようになったという。

 

判決は、自発呼吸ができない  さんから、人工呼吸器を外していることなどから、「躊躇なく(  さんを)心中に巻き込んだ。殺害方法、結果はともに重大だ」と指摘した。

 

一方、  さんの生命の維持が被告の介護に委ねられていたとし、「張りつめた緊張感の中できめこまやかな介護を続けた。疲労の蓄積自体は察するに余りある」と言及。介護が負担であるかのような夫の発言について「夫に悪気があったわけでもないが、被告にとってどれだけ深い痛みを伴う発言であったか第三者には推し量れない」とした。

 

公判で検察側は「衝撃的に決意した短絡的な犯行」と主張していたが、判決は、「短絡的な犯行と割り切ることは躊躇される」などとして酌量減軽を適用し、「社会でしょく罪の日々を送らせ、社会復帰につなげることが相当」と判断した。

 

 

■「家族への支援 充実を」

 

殺人事件にもかかわらず、法定刑の下限を下回り、執行猶予付き判決になったのは、

    被告が  さんに深い愛情を注ぎ、献身的に介護に取り組んできた姿が審理を通じて裁判員らの目に浮かんだからではないだろうか。

 

被告は昼夜を問わず介護に当たっていた。たんの吸引は30分に1回、体の向きの変更も2~3時間に1回。被告人質問では「  のためなら何でもやってあげたいと思っていた。時間を戻し、お風呂に入れたり、ほっぺをギュッとしたりしていたあの生活に戻りたい」と涙ぐんだ。法廷で旅行先での家族写真が次々と映し出された際には、目頭を押さえる裁判員の姿があった。

 

医療的ケア児は医療の発達で増加傾向にあり、全国で2万人が在宅でケアを受けているとされる。家族らの心身には大きな負担がかかる。離職せざるを得ない場合もあり、被告も2023年頃に離職し、介護に専念する中で事件が起きた。

 

被告が利用していた福祉サービスの責任者は法廷で「医療の発達に医療的ケア児の福祉が追いついていない」と訴えた。21年施行の医療的ケア児支援法は、国や自治体の責務に、家族の支援も定めている。痛ましい事件を繰り返さないためにも、国や自治体は家族らに対する支援の充実を図るべきだ。