著者:高橋睦郎
著書:「つい昨日のこと 私のギリシア」
発行:思潮社 2018年初版
高橋睦郎さんは1937年生れ
失礼ながら80歳でこの感性なのだと驚く
ただすぐに年齢は忘れて
この詩集を読み続ける
ここで気づく
いまさらだが、考えたこともなかった
自分もあと十数年で、80歳だなと
時間は
立ち去っては行かない
50年前のことさえ
つい昨日のことのように
痛みを伴ってこの手のなかにある
記憶は過去のものとして去っては行かない
むしろ
感情がそれを愉しんでいるように
そのままここにある
***
この著書の栞にある蜂飼耳さんの言葉に導かれる
(抜粋)
詩の多島海;蜂飼耳
古代ギリシアを自らの詩の出発点と位置付ける高橋睦郎さんが、はじめてそのギリシアと正面から向き合った詩集を刊行する。文字を通して文学や哲学などの古典ギリシアと出会ったこと、また現実のギリシアへの最初の旅、いずれも昨日のことのようだと、振り返る。そこから生じて、詩集のタイトルは『つい昨日のこと』という。
古典ギリシアについて書くのではない。作者が自分自身について書くのでもない。古典ギリシアと、作者自身の、あいだに視点がある。というより、そのあいだに、ふいに亀裂が走るのだ。その亀裂から湧き上がる感情や感覚や思考が、一語一語に定着されるかたちで作品になる。
