もともと「夢十夜」を音読したくて手にした本だったが。
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収録されている小品集「思い出す事など」に、意識についての記述があった。
主人公は、外出先の宿で吐血し、生死をさまよう。
そして「意識」について考える。
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夏目漱石は、1910年6月、胃潰瘍で入院した。8月、伊豆修善寺の旅館で転地療養。
だが、そこで大吐血した。危篤となる。
あいにく悪天候で電話が通じにくいほどだったかが、それでも奥さんが駆けつける。
当時なので、往診した医者の処方が効かなければ、覚悟するしかない。
その時に一度、「死」の状態になったいた、と後で知らされる。
30分死んでいた。
これは「修善寺の大患」と言われている。
この時のことが書かれている。
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記憶がない。
なにもない。
幽霊などになっていない。
ただ、無だ。
なのに、それから「生」の状態になったときは、意識は継続している。
何もなくしていない。
繋がっているこの、「意識」ってなんだろう、と作者は思う。
「生死」に境目がないことを体験する。
著書:「文鳥・夢十夜」(短編小品集:「文鳥」「夢十夜」「思い出す事など」「手紙」他)
著者:夏目漱石
装画:加藤千香子
発行:新潮文庫 第一刷昭和51年 第62刷平成16年
