もともと「夢十夜」を音読したくて手にした本だったが。

 

 

***

収録されている小品集「思い出す事など」に、意識についての記述があった。

 

主人公は、外出先の宿で吐血し、生死をさまよう。

そして「意識」について考える。

 

***

夏目漱石は、1910年6月、胃潰瘍で入院した。8月、伊豆修善寺の旅館で転地療養。

だが、そこで大吐血した。危篤となる。

あいにく悪天候で電話が通じにくいほどだったかが、それでも奥さんが駆けつける。

当時なので、往診した医者の処方が効かなければ、覚悟するしかない。

その時に一度、「死」の状態になったいた、と後で知らされる。

30分死んでいた。

これは「修善寺の大患」と言われている。

この時のことが書かれている。

 

***

 

記憶がない。

なにもない。

幽霊などになっていない。

ただ、無だ。

 

なのに、それから「生」の状態になったときは、意識は継続している。

何もなくしていない。

 

繋がっているこの、「意識」ってなんだろう、と作者は思う。

「生死」に境目がないことを体験する。

 

 

 

 

著書:「文鳥・夢十夜」(短編小品集:「文鳥」「夢十夜」「思い出す事など」「手紙」他)

著者:夏目漱石

装画:加藤千香子

発行:新潮文庫 第一刷昭和51年 第62刷平成16年