子供の頃、冬になると、しもやけの子や、あかぎれの子が当たり前に教室にいた。

あかぎれは、そのままにしてると、皮膚がぱっくり割れてひりひりと痛む。

「それ、カマイタチよ」なんて言う同級生がいた。

東北の方では、カマイタチにやられると、皮膚に突然亀裂が入ることがあるらしい。

 

 

※ネット辞書より

【鎌鼬】

体を物にぶつけても触れてもないのに、鎌で切ったような切り傷ができる現象。

極寒時小さな旋風の中心に生じた真空に人体が触れて起こるといわれる。

かつては、イタチのような魔獣の仕業とされた。鎌風。

 

かまいたち萱負ふ人の倒れけり 水原秋桜子

 

 

本当にそうだったんだと、半世紀前の、子供時代のはなしを思い出す。

この写真集は、その頃の時代を残す。

 

 

抜粋:

高橋睦郎「鎌鼬讃」より

写真集「鎌鼬」は一代の鬼才舞踏家土方巽と写真家細江英公の出会いが産んだ、1960年代日本芸術界の、けだし兇風、裂傷といえようか。

それはまた旧いムラが新しい農村に変容する空隙に生じた奇跡的幻夢ともいえる。

戦後社会転換期の東北地方の田園風景を走り抜ける土方巽の肉体はまさに鎌鼬、

 

 

鎌鼬美術館が設立:

かまいたち美術館 秋田県雄勝郡羽後町田代の撮影地に2015年設立

1965年(昭和40年)9月28日、突然、土方巽と細江英公がこの村を訪れた。

村では稲刈りの最中で、土方は奇異な行動を繰り返し、翌日、サッと去る。

まさに雪国の妖怪、鎌鼬の一閃の攻撃のようだったという。

1969年、写真集が刊行された。

村人たちは一瞬のことで、その日のことが語られることもなく、

30年近くその本の存在も知らなかった、という。

 


 

著書:「鎌鼬」普及版

著者:細江英公

発行:青玄舎 2009年11月1日初版

※原本「鎌鼬」1969年 現代思潮社より1000部限定出版

       2006年 青幻舎より完全復刻版として500部限定出版

※本書は、原本「鎌鼬」に新たに未発表作品を加えて普及版として刊行された

 

 

写真 :細江英公    (1933.3.18 ~2024.9.16 享年91歳)

舞踏 :土方巽     (1928.3.9   ~1986.1.21 享年57歳)

序文 :瀧口修造    (1903.12.7 ~1979.7.1   享年75歳)

随筆 :ドナルド・キーン(1922.6.18 ~2019.2.24 享年96歳)

詩  :三好豊一郎   (1920.8.25 ~1992.12.12 享年72歳)

鎌鼬讃:高橋睦郎    (1937.12.15~)

後書 :細江英公    

造本 :田中一光    (19301.13 ~2002.1.10  享年71歳)