:言葉から言葉つむがずテーブルにアボカドの種芽吹くのを待つ(抜粋)
:昔からアボカドが大好きで、種からの水耕栽培も楽しんでいる。根っこが出るまで三か月くらいかかり、それから芽、ようやく葉っぱ。慌ただしい日々のなかで芽吹きをじっくり待つことは、とても豊かだ。その豊かさは、水を替え、光を当てるところから始まっている。短歌も、心の揺れに立ちどまり、言葉を探すことろから、もう始まっている。芽が出るまでの時間を含めて、短歌なのだと思う。(あとがきより抜粋)
息子さんが高校を卒業され、子どもが離れ、子育ての区切りを思う気持ちがさらりと伝わり、「サラダ記念日」(1987年発行)からの年月を思う。
そして人に気持ちが触れるときのみずみずしさが変わってなく、感慨深い。
:「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日(「サラダ記念日」より抜粋)
今回の歌集の中のサラダは、生野菜のドレッシングサラダではなく、栄養価の高い実の詰まったアボカドサラダだ。
:アボカドのサラダ作ってあげることもうないだろうレシピ聞かれる(抜粋)
:「どんぶりで食べたい」というほめ言葉息子は今日も言ってくれたり(抜粋)
心から出て来る言葉で丁寧に子育てをされたのだろうなと、感慨深い。
:一首一首、自分の目で世界を見るところから、歌を生む。言葉から言葉をつむぐだけなら、たとえばAIにだってできるだろう。心から言葉をつむぐとき、歌は命を持つのだと感じる。(あとがきより抜粋)
:つかうほど増えてゆくもの かけるほど子が育つもの 答えは言葉(抜粋)
著書:「アボカドの種」
著者:俵万智 (第7歌集 375首)
装画:三宅瑠人
発行:角川文化振興財団 2023/10発行
