今西錦司さん

1902ー1992

京都大学名誉教授/日本の霊長類研究の創始者。

ダーウィンは、環境から生物への働きかけを選択圧として捉えるが、

今西は、生物からの環境の認識を主体としている。

 

著書より抜粋:

1974年執筆

 

突然変異も自然淘汰も否定した私の進化論は、もともと現在の正統派進化論とはかなり趣の異なったものであり、それなりに一応の形を整えるところまできたものの、まだけっして完成の域にたっしたものとは思っていない。暇をえてその仕上げにぽつぽつ取りかかろうと思っているところへ、『ブリタニカ国際大百科事典』のTさんから五〇年さきのことを考えてなにか書けといわれ、うかつにも筆をとった次第であるが、何分にも相手は一世紀にわたる伝統をもち、世界にひろく根をおろした、ダーウィン以来の進化論である。五〇年は一〇〇年ではまだ崩れ去らないものかもしれない。しかし、こういう正統派進化論者からみたら異質の進化論も、また成りたつのだということぐらいは、もうすこし宣伝してもようのではないか。(略)なにも急ぐことはない。(略)しずかに後世の批判を仰ぐことにした方が、かえって賢明なのではないかと、考えている近ごろの心境を、最後にしるして筆をおく。

 

 

 

 

著書:「進化とはなにか」

著者:今西錦司

発行:講談社 1976年発行