今宵は夜市が開かれる。

夜市は、どんなものでも手に入る、すごく特別な市場。

 

暗がりをしばらく歩くと、

やがて前方に青白い光が見えてきた。

 

木々がまばらになり、

決して眩しくはない、ほのかな青白い光に、闇が切り取られていった。

 

「夜市にようこそ。」

 

兄が自分を売った、その夜市が、今宵再び開かれる。

 

(以上、部分抜粋)

 

著書:「夜市」

   (短編「夜市」「風の古道」収録)

   (「夜市」はデビュー作・2005年ホラー小説大賞受賞作  )

著者:恒川光太郎

発行:角川書店 2005年発行