気が付くと、僕は大アラル海の畔に立っていた。

潮の香りを含んだ強い風が吹きつける。

見渡す限りどこまでも続く、

豊富に水を湛えたそのアラルの姿は、

砂漠化した現在の姿とは様相がまったく違っていた。

午前中の強い日差しが、水面に照り返して輝いていた。

海鳥が鳴き声を上げながら、頭上を何羽も旋回している。

 

僕は

手を繋ぎ直し、歩き始めた。

(以上、抜粋)

 

 

この美しい一瞬の夢

 

 

著書:「僕たちのアラル」

著者:乾 緑郎

発行:KADOKAWA 2017年発行