朝5時に起き自分の朝食と弁当をつくり、6時過ぎには家を出る。

毎朝6時半から高校の自習室で勉強する沙耶は、地味で目立たないが、

双子の姉の美耶は華やかで美貌は半端ない。

比較されることには諦観しかない。

 

(抜粋)

朝食を終え制服に着替えると、六時過ぎには家を出る。

霧のような雨が降っていた。

ゆるやかな坂を下り、細道を抜けて、明月院通りに入る。

新緑に覆われた木陰の道を、

涼やかな朝風がすっと抜けてゆく。

横を流れる小川の静けさや、

そこに架かるささやかな石橋にもまた風情がある。

心が洗われるようで、沙耶はこの道を歩くのが好きだった。

 

 

こんな日常のささやかさが心に残る。

 

 

『日常が舞台で、きちんと救いのある物語』を書いてみようと思った

(作者あとがきより)

 

 

(本書目次)

第一章 惨劇にはほど遠い日常

第二章 惨劇にはまだ遠い日常

第三章 惨劇への伏線だらけの日常

第四章 惨劇の夜

第五章 惨劇の後

第六章 惨劇の後の後

第七章 マスター・オブ・パペッツ

 

 

たまたまそういう結末になったが

目に見えない支配は自分の精神を蝕む。

 

この作品はエンターテイメントミステリーで楽しかったが、

最後の章がこの題名になっていることで

メッセージ性も高い。

 

 

Metallica サードアルバム 『Master of Puppets』(1986年/メタル)より

「Master of Puppets」

(抜粋)

Master of puppets I'm pulling your strings
Twisting your mind and Smashing your dreams
Blinded by me, you can't see a thing
Just call my name, 'cause I'll hear your scream
Master, Master
 

・master of puppets =操り人形・傀儡

・Master =この歌詞では、麻薬をさす

・Master of Puppets =この歌詞では、麻薬中毒者・麻薬に操られている人間をさす

 

麻薬中毒になり人生を麻薬に操られていることへ憤りを叫ぶ(歌う)。

自らの意志で自分の人生を生きろ、と。

 

 

著者:逢坂八重

著書:「ドールハウスの惨劇」

発行:祥伝社 2023年1月発行

装画:中野カヲル