日本からまっすぐ穴を掘ったらブラジルにたどり着く。
子どもの頃から私たちを魅了した架空の話は、
「日本ブラジル間・直線ルート開発計画」として、
実はひそかに国家内密事業として、
敗戦後すぐに発案されてから数十年経て決定されていた。
リニアモーターカーの予算に混ぜ込む秘密裏の会計処理の事業であるため、
当時の運輸省から省の外郭団体へ、外郭団体から大手建設会社へ、そして請負うために子会社が設立された。
このとんでもない秘密裏の事業の広報係として新卒入社したのが、鈴木一夫だった。
おかしさに引きずられて読み進めていくが、なぜかしんみりしてくる。
意義があるからと上司命令が出れば従う。
特攻隊を彷彿させる。
新橋の闇市の横丁で工業用アルコール「バクダン」にメタノールが混入してて死者が出た話など、こざっぱりした戦後の昭和史が興味深い。
敗戦後、生き残った人間として、国を作るために必死で働き続けた時代があったことに思いを馳す。
著者:山野辺太郎
著書:「いつか深い穴に落ちるまで」
発行:河出書房新社 2018年発行
装画:サヌキナオヤ
