パウル・ツェランの詩を縦横無尽に織り込んだ、小説。
執筆されたのが2020年2月ころから夏だったそうで、
コロナ禍のパンデミックによる孤立、孤独は
ツェランに通じ
ツェランの詩の研究者である主人公のパトリックの精神状態をなぞる。
(抜粋)
彼はあまり考えすぎず、とにかく歩こうとする。
歩くことは言葉を用いずに考えることだ。
(この言葉とツェランの詩との関係はわからない。無学。)
パウル・ツェラン:20世紀を代表するドイツ系ユダヤ人の詩人
本名 パウル・アンチェル(ユダヤ系の本名を隠すため)
1920年 ルーマニア生まれ(現ウクライナ)
1941年 ナチス・ドイツの侵攻により両親とともにゲットーに移住
1942年 両親は強制収容所へ。ツェランは強制労働に。
1943年 両親は収容所内で死去(父は移送中にチフス感染。母は射殺)
1944年 ツェランは赤軍(ロシアの軍隊)による解放で、学業に戻る
1945年 ブカレストに移住。ロシア文学翻訳の仕事に就く
1948年 パリに亡命(共産主義独裁の空気を嫌う)
〃 第一詩集『骨壺の中の砂』
1954年 詩集『罌粟と記憶』(代表作「死のフーガ」はユダヤ人虐殺をモチーフ)
1955年 フランス市民権獲得
1959年 「ゴル事件」(ツェランが濡れ衣を着せられた剽窃疑惑)
1960年 ゲオルク・ビューヒナー賞(ドイツ語圏で最も重要とされる文学賞)受賞
1970年 パリにて逝去(49歳 セーヌ川で発見 自殺か)
*ドイツ語で書かれた本書が日本語に訳されて日本で出版されたことも話題になった
著書:「パウル・ツェランと中国の天使」
著者:多和田葉子 1960年生まれ 1982年よりドイツに在住。
訳者:関口裕昭(ツェラン研究の第一人者)
発行:文藝春秋 2023年1月発行
