六つの風船に支えられ、横浜のビルの上から小笠原諸島の父島を目指す
絶望と希望が交互にしばしばほぼ同時にせわしなく去来する
空と海から赤みが引いてゆく
闇のなかに包まれ、見上げると無数の星が天のかなたで小さな輝きを揺らしている
いっそ、星たちに見守られながら、眠っているうちに、
燃え尽きてしまえないものか
眠りながら夜の闇を漂う
ときおり意識がうっすら浮かび上がり
まだ生きているようだ、と思っては
また眠りの淵に沈んでいく
この美しい物語の冒頭の闇に引き込まれ
意識の淵を洗ってくれる
著書:「孤島の飛来人」
著者:山野辺太郎
発行:中央公論新社 2022年8月発行(初出 「文藝」2019年冬季号)
