レガシーメディア、ウェブメディア…

悪貨が良貨を駆逐するように拡散するフェイクニュース(本文より抜粋)

新しい時代の、得体の知れない大波(本文より抜粋)

 

(本文より抜粋)

大日新聞に就職が決まって父に報告したとき

「浅瀬に留まるな」と言われたことを、

三反園は鮮明に覚えている。

当時は意味が分からず不快に感じたが、

今は父の気持ちが少しは理解できる。

新聞記者時代、三反園は日刊の忙しさから

ノルマの処理を優先し、

紙面を整えることばかり考えていた。

本すらまともに読めない日々が続き、

そんな自分に段々と嫌気が差していった。

父には子どもの前に立ちはだかるであろう壁が

見えていたのかもしれない。

一人息子とあまり話すこともなく、

父はひたすら本を読み、

思考を続けていた。

そんな孤独が実は幸せで、

自分には到達できない高みであると知ったのは、

父の胃に癌が見つかった後だった。

 

著書:「歪んだ波紋」

著者:塩田武士

発行:講談社文庫 2021年発行(2018年単行本として刊行)