小桜が部屋に入ってゆくと…イスを勧め…ギヤマンの杯に赤い酒を注ぎ…(本文より抜粋)

 

江戸末期の長崎出島蘭館に出入りする花魁の小桜の踏み絵の話し。

隠れキリシタンの殉教の話しではない

 

毎年正月に遊女絵踏みがあり

町中の人がその華やかな行事に訪れ大変な騒ぎになる

 

小桜は殉教すると事前に噂を流され、町中が期待し、

その運命を受けるしかないと覚悟をするしかなかった

 

正月もせまった年の暮れ、最後の勤めに行った出島の和蘭陀人客が、

 

抜粋:

すると海獣のように床に仰向けになって、下から足指を一本一本、音をたててしゃぶりはじめた。さも美味しそうに。

 

抜粋:

顔も体も股も思うぞんぶん踏みつけてくれ。そうされないと私は興奮しないのだ。

 

抜粋:

「ねえ、教えて」 

「あちらの男の人は、女に顔を踏まれても怒らないものかしら」

「どうして怒るだろう。このような美しい脚に踏みつけられて」

「このような美しい脚を頭上にいただくのは、すべての男の悦びなのだよ」

 

そして絵踏みの当日。

小桜は自分の番になったとき、その言葉がふたたび遠くから聞こえてきた

「このような美しい脚を頭上にいただくのは、すべての男の悦びなのだよ」

そして、小桜は恐れず、すらりとした脚を出した。

 

運命として他者から決められたものにペロッと舌をだしたような

たくましさを感じる

 

この短編集の6作の中では一番好きだった

 

 

 

著書:「花魁小桜の足」(「姫君を喰う話」短編集の中の第三話)

    1969年「小説現代」掲載作品

著者:鵜能鴻一郎

発行:新潮文庫

 

 

写真は、やまももとやまももジュース(庭木より)