空に境はない

空と海の境目はいったりきたりしている

海のなかで鳥ももぐる、魚も海の上を飛ぶ

海女として魚のように潜れるなら、鳥のように飛べるんじゃないか?

 

東シナ海に浮かぶ辺境の島「養生島」に住むイオ(92歳)とソメ子(88歳)の物語

 

引き取ろうと迎えにきた娘ウミ子であったが

生れた土地で死んでいこう、いや、生きていこうとする老女たちの生き方を

尊ぶようになる

 

昔「古事記」の時代、ここはなき死者にこの世で再開できる場所だとつたえられていた

西の果て、この世の果て、魂の還るところ

 

魂の境目もいったりきたり、あいまいな

 

 

著者:村田喜代子

著書名:「飛族ひぞく」

発行:文春文庫