美術館「えき」KYOTO「生誕150周年記念 菱田春草と画壇の挑戦者たち」 | 美術館大好き!大阪・兵庫・京都・奈良へのお出かけ日記

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「生誕150周年記念 菱田春草と画壇の挑戦者たち大観、観山、その後の日本画へ」


●菱田春草「朝之牡丹」部分 1906


以前、水野美術館所蔵の日本画の展覧会を観てとても良かったので楽しみにしていました


日本画家・菱田春草の画業を、彼と共に研鑽を積んだ横山大観、下山観山ら春草とゆかりの深い画家の作品と共に紹介する展覧会です。作品は全て長野・水野美術館の所蔵です。



菱田春草は1874年長野県生まれ。東京美術学校で橋本雅邦に学び、校長であった岡倉天心に大きな影響を受けます。岡倉天心が美術学校を離れた際に横山大観・下村観山らと共に学校を辞めて日本美術院の創設に参加。苦境の中で新しい表現方法を模索、輪郭線を描かない朦朧体という表現を生み出しました。渡印・渡米もして研鑽を積みますが、36歳で早世しました。

 

●菱田春草「月花狐」1899


画業を初期から辿る構成になっていて、朦朧体以前の作品も見れました。後期の作品もきれいですが、私はこの時期の作品が一番好み。「五郎時致」「月花狐」などに目を引かれました。その場面の空気感が伝わってくるような気がします。

「月花狐」の狐がとても好き。月の光を浴び神々しさも感じます。


朦朧体の作品では志を同じくした横山大観との共作が展示してありました。会場の解説にもありましたが、二幅のうち春草と大観がどちらが描いたのかわからないほど一体感のある作品。二人の作品を見て、全く分野は違いますが、ブラックとピカソのキュビスム初期の絵と同じような印象を受けました。朦朧体という表現を二人で研究していた段階の絵なのかな?と感じました。


春草は昔の日本の絵の研究も熱心に行っていたそう。いかにも琳派な作品がいくつかあり、驚きました。


菱田春草「雪夜」1909


左下 西郷孤月 「月下飛鷺」1900

展覧会では横山大観、下山観山などの日本美術院の仲間の絵も展示されていたのですが、特に素敵だと思ったのが西郷孤月。名前だけは知っていたけど、こんなに美しい絵を描く人だったとは。「月下飛鷺」の深い青のような墨色のようなグラデーションで表された絵がなんともいえず美しかったです。もっと他の作品も見てみたくなりました。


菱田春草の絵は、圧が強くなくて品よく控えめ。それでいてほんのり華やか。

全体的に正統的な美しさのある作品が多く、ゆったりとした気分で鑑賞できました。水野美術館にいつか行ってみたいなぁ、と思った展覧会でした。