中学か高校の頃、スーパー歌舞伎(たぶん「八剣伝」)をTVで夢中になって観た記憶があります。一度生で見てみたいと思いチケットを取りました。
スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内
ヤマトタケル
梅原 猛 作
石川耕士 監修
二世市川猿翁 脚本・演出
【出演者】
小碓命 後にヤマトタケル/大碓命 市川團子
兄橘姫/弟橘姫 中村壱太郎
帝 市川中車
タケヒコ 中村福之助
熊襲弟タケル/ヘタルベ 中村 歌之助
犬神の使者/琉球の踊り子/新朝臣 嘉島典俊
ヤイラム/帝の使者 市川青虎
尾張の国造 嵐橘三郎
老大臣 市川寿猿
倭姫 市川笑三郎
国造の妻 市川笑也
熊襲兄タケル/山神 市川猿弥
皇后/姥神 市川門之助
みやず姫 市川三四助
1986年初演のスーパー歌舞伎の第一作で、古事記のヤマトタケルをとり上げた歌舞伎です。ヤマトタケルの西征、東征のお話が元になっています。
日本神話って不憫なヒーローが好きなのかな。ヤマトタケルの不憫さに涙が止まらない。「大和に帰りたい」何度も繰り返されるこの言葉に、涙、涙😭
地方勢力と大和政権の衝突とか、天から下った神の子孫である国つ神(帝)と国つ神に服従を強いられる古来の神の関係などが織り込まれ、興味深い。その上で、父子の確執やヤマトタケルを巡る女性達の愛、敵や仲間との友情が描かれていて、引き込まれました。
舞台は早替わり、立ち回り、宙吊りなど華やかで飽きる暇なし。熊襲タケル兄弟との立ち回りは大迫力でした。草薙剣のシーンも面白かった。早替わりは衣装が変わるだけじゃなくて、役がほんの少しの間に替わります。びっくりです。この演出を考えた二世市川猿翁ってすごい。
衣装も美しく豪華。白が多くて神々しく、ヤマトタケルの清廉さが際立ちます。デザインは元・ミヤケイッセイ事務所の毛利臣男だそうです。
舞台美術も好みでした。スケールが大きく華やか。名前を調べたら朝倉摂、先日一目惚れした彫刻家・朝倉響子の姉でした。意外な繋がり😳
演じている皆さん、素晴らしかった!
ヤマトタケルと双子の兄・大碓命を演じ分けた市川團子さんがなんといっても素晴らしい👏 すごい集中力で演じ切っていました。まっすぐひたむきなヤマトタケルに心打たれました。あの若さ(20歳らしい)で場を引っ張っていて、本当にすごいな、と。
姉の兄橘姫と妹の弟橘姫を演じ分けた中村壱太郎さんも見事。若々しい弟橘姫としっとりたおやかな兄橘姫、全然違っていて、でもどちらも美しかった。
偶然ですが、私が最近見た歌舞伎全てに壱太郎さんがご出演、勝手に親近感を感じています🤗
市川中車さんの帝は最後まで父ではなく帝であるのが切なく、そのかわりに親のようにヤマトタケルに愛を注ぐ市川笑三郎さんの倭姫の存在が温かい。また、中村福之助さんのタケヒコの抑えたお芝居にもじーん、ときました。
3階席を取ったのですが、宙吊りがあるのをすっかり忘れていて、空を舞う團子さんの姿を長く眺められるという思わぬご褒美が🙌
いい作品に出会えました。また見てみたいです。