小林正和は1944年生まれの日本を代表するファイバーアーティスト。美術大学では漆工を学び、川島織物に就職。在職中に立体造形作品を発表、国際タペストリー・ビエンナーレでの入選をきっかけに国際的な評価を得ました。
今展覧会は小林の没後初めての回顧展です。彼の代表作と、歩みを共にした作家達の作品が展示されています。
会場に入って感じたのは、どことなく「和」の雰囲気。使われている素材は絹、綿、化繊と様々ですが、うっすら輝いていたり、ほのかな風にゆらいでいたり、ほんのり透けていたりと、控えめで上品。
※写真の作品は全て小林正和のもの。
●「KAZAOTO-87(風音-87)」 1987年。
しなっているのは竹ひご。先端にピンクの絹糸が巻きつけられている。まるで垣根のようだと思いました。ロマンチックです。
●「WAVE(波)」 1993年頃。
わずかに入ったピンクが効いてすごく素敵。着物にありそうな色合わせ。
●「Sound Collage-93(音のコラージュ)」 1993年。
タイトル通りリズムを感じる楽しい作品。
●「KITE-No.2-87(風-No.2-82)」 1987年。
海上を舞う凧🪁を想像しました。爽やか。
●「MIZUOTO-99(水音99)」 1999年頃。
●「吹けよ風」 1972年。
出世作シリーズだそうです。この作品は青海波をイメージしたそう。繊維の重みでできた自然なたわみが模様になっているのが美しい。
●「HANAOTO-P3’91(花音-P3’91)」 1991年。
次第に満開に近づく桜を表しているのだとか🌸
●「W^3」 1976年。
原題では、^3 (3乗)は小さな3です。
小林自身の言葉「点から線、線から面、面から立体へ、あるいは逆の方向へ移り変わる時に生まれるイリュージョンの世界を、糸が垂れる自然の法則に従って、テキスタイルで表現できる可能性を出してみたかった」。
静かな展示室でゆっくり作品を感じることができました。私はやっぱり和の雰囲気が好きなのです。この後、コレクション展に向かいました✨