螺鈿は夜光貝などの美しい貝を彫刻し、木地や漆地に嵌め込む技法です。朝鮮半島では高麗(10-14世紀)や李氏朝鮮(14世紀末-19世紀末)で盛んに制作されました。
今回の展覧会では、朝鮮螺鈿や朝鮮の影響が見られる日本や中国の螺鈿、朝鮮半島を中心とした東アジアの絵画や陶磁器が紹介されています。
写真はパンフレットより
●「螺鈿葡萄文衣装箱」朝鮮時代、18-19世紀
子どもが葡萄につかまっている可愛らしい意匠💓貝の色も美しい。葡萄と童子の組み合わせで、子孫繁栄を表す。
●「螺鈿葡萄文衣装箱」朝鮮時代、16-17世紀
枝の直線と蔓の曲線の対比が目を引く写実的な作品。小さな昆虫も描き込まれて可愛い。
●「螺鈿牡丹唐草文箱」朝鮮時代、16-17世紀
牡丹唐草文は朝鮮時代の特徴的な文様だそうです。植物の曲線の美がアール・ヌーヴォーっぽい。
●「螺鈿山水文箱」朝鮮時代、18世紀
この細やかさ!繊細で緻密な螺鈿は日本のお家芸かと思っていましたが、朝鮮のも素晴らしい。
● 「螺鈿唐草文箱」朝鮮時代、18世紀
このデザインには少し異国情緒を感じます。
●「螺鈿菊唐草文小箱」高麗時代末期
菊と唐草が細かく彫られて、愛らしい印象。
●「螺鈿花鳥文硯箱・螺鈿花鳥文文台」明時代、16世紀。重文。
●「大方広仏華厳経」高麗時代
目が回りそうな細かさ。一体どうやって作ったのでしょう。。
●「白磁青花彩陽刻十長生文六角瓶」朝鮮時代
鹿、霊芝、竹などの吉兆文様の瓶。
展示されていた朝鮮の焼き物は、素朴で大らか、民藝っぽい雰囲気のものが多かったです。どれも好みでした。
美術館の解説によると、現存する高麗時代の螺鈿は菊唐草文が多く、蔓は金属線が用いられたそうです。朝鮮時代に入ると、牡丹唐草文が拡大して表現されるようになり、蔓は貝を細かく切り繋ぎ合わせているものが増えているのだとか。朝鮮時代後期には山水文様が多くなっているそうです。
国によって異なる特色があるのかな?と思ったのですが、朝鮮螺鈿と日本の螺鈿の違いは私にはあまりわかりませんでした。
日本には遣唐使を通じて奈良時代に螺鈿が伝わり、高度に発展してきました。お互いの国を交易品として行き来していたようなので、影響しあって似ているのかもしれないですね。蒔絵と併用している日本のものを除いては、一見して国がわかるようなものは少なかったです。
螺鈿細工のは光の当たり方や角度によって七色の輝きを放つのが本当に素敵。漆の黒も輝きを引き立てます。
美しいものをたっぷり見て大満足です。
大和文華館は、建物もユニークでした。次の投稿でお付き合いくださいませ😊