この文学館では芦屋に縁の深かった小説家・谷崎潤一郎に関する資料が公開されています。
庭園は、谷崎が関西で最後に住んだ京都下鴨・潺湲(せんかん)亭の庭を模したもの。書斎を再現したコーナーもありますが、谷崎が生前住んだ家ではありません。(近隣では芦屋に1軒、魚崎に1軒旧居が残ります)
谷崎潤一郎は1886年東京・日本橋生まれの小説家です。
#北原白秋・石川啄木・志賀直哉などが同世代。画家では橋本関雪・藤田嗣治も同世代です。
資料を見て、全然知らなかった谷崎の姿を知り衝撃を受ける私。なかなかにドラマティックな人生です。
谷崎潤一郎は引っ越し魔でした。阪神間に住んだ20年間になんと十数回の引っ越しをしています。
谷崎の人生と松子夫人をはじめとする女性たちの関係は切り離すことができせん。ビデオにまとめられており分かりやすかったです。
奔放な面がある一方で、松子夫人の妹たちや連れ子と家族同然に交友するなど、深い家族愛を感じさせる資料も多く、多面性を感じました。
特集展示は、1923年の関東大震災を機に谷崎が故郷の東京を出て阪神間に移住してからの、作家の阪神間文化への賛美と東京への屈折した愛着を「東京をおもう」などの著作から読み解いています。
谷崎は東京時代、和室がない部屋で暮らす徹底したモダニストだったのだとか。当時の東京を「乱脈な近代化の進行と立ち遅れた貧相な生活文化との、醜悪な習合」とまで嫌悪感を露わにし、関西の「伝統的な文化と美意識」に傾倒しました。(HPより)
個人的には、何故そこまで生まれ故郷を悪く言うのか不思議なぐらいで、食べ物まで「くちゃくちゃ音をたてるものばかりだ」と、ほぼ言いがかり的な主張をしています😅
愛憎は反転するのか、愛しているから期待が落胆に変わり、嫌悪に変わるのか、よく分かりませんが、作家の根底にあるコンプレックスを知ることができて、非常に興味深い展示でした。
なんか、すごい人だわ、とぼーっと展示を見ていたところ、父世代の方に話しかけられ少し話をしました。この方のおっしゃった事がその通り、と頷けることだったので、メモしておきます。(だいたいのニュアンスです)
「谷崎っていう人はいわゆる私小説、暴露本を書いた人なんですな。私生活を全部小説に書いとる。とんでもない人生に見えるけど、芸術家やからねぇ。こういう普通の人にはない感覚を持ってるからこそ、ああいう傑作が生まれたんだねぇ」
#ごもっとも
#激しく共感
#ほとんど作品読んでないけれども🫢
#今回の訪問で興味がわきました
#ファンの方、気に障る書き方してたらごめんなさい🙏
谷崎と女性 メモ📝
母→錦絵が描かれるほど美しい人だった
最初の妻・千代子→谷崎は良妻賢母がタイプではなかったため冷遇。千代子の妹・せい子(「痴人の愛」のモデル)に夢中になる。千代子は後に、谷崎の親友・佐藤春夫と結婚(細君譲渡事件)。
2番目の妻・丁未子→電撃結婚するが、谷崎の心の中には常に松子が。結婚1年後には松子と同棲を始める。
3番目の妻・松子→芥川龍之介との討論の場で出会い、思慕をいだき続けた。彼女の1度目の結婚生活は幸せではなかったようです。谷崎の運命の女性で、谷崎は彼女を崇拝した。「細雪」幸子のモデル。ビデオで老境のご本人のインタビューが見れました。