ボタニカル・アートとは、科学的研究を目的として、植物を正確かつ緻密に描いた植物画のこと。大航海時代(17世紀)に西欧諸国がアジア・オセアニア・アメリカ・アフリカ等に植民地を増やす中で、珍しい植物を記録・研究する目的で生まれました。
ただの図鑑の絵、で片付けるにはもったいない。精緻に描かれた植物画が美しいです。野菜や果物などは正確に描写されているだけでなく、いかに食用に適しているかをアピールするかのようにみずみずしく、見ているうちにだんだんフルーツが食べたくなってしまいました。
特にウィリアム・フッカーの描くフルーツはつやつやとした触ってみたくなるような絵で、美しかったです。
ウィリアム・フッカーの絵
ウィリアム・フッカーの絵
きゅうりが今と全然違っていて、品種改良ってすごいなぁと思いました。また、じゃがいもが西欧に紹介された頃、皆食べ方を知らないので毒のある葉や果実を食べて食中毒になる人が多かったため、なかなか人気が出なかった、といったような説明も興味深かったです。
カカオ
フルーツの中でも柑橘類は暖かいところでしか育たない為、憧れの食べ物だったよう。
#17世紀から19世紀にかけてヨーロッパに作られた大規模な温室はオランジェリーと呼ばれる
野菜・フルーツだけではなく、スパイスやハーブ、茶もさかんに研究されました。研究とは品種改良、別の土地への移植などです。
例えば、茶は中国からインドやスリランカに、サトウキビは東南アジアやポリネシアからブラジルに移植され、巨大農園で栽培されました。
数多くの植物が西欧で手に入りやすくなって食生活が豊かになったのは、三角貿易をはじめとする植民地政策が大いに影響していることが展示されていました。プランテーション・モノカルチャーは知識としてありましたが、栽培された植物が他地域から移植されたことに気づいていなかったので勉強になりました。
また、お茶はイギリスにとって欠かせない文化となったことから、陶磁器や銀食器の紹介もありました。
アフタヌーン・ティー(ロー・ティー)は午後4時から5時の喫茶の文化であるということを知りました。
#2時から3時頃と思ってました💦
これは1840年頃に貴婦人たちから始まった文化で、当時は身分が上の人ほど晩餐の時間が遅かった為に空腹を紛らわすためのものだったそう。
きれいな絵を楽しみに出かけたのですが、植物画からイギリスの歴史や文化を深掘りするような展示もあり、面白かったです。
また、ボタニカルアートがおいしい?と思ってたけど、進むにつれて新鮮な野菜やフルーツ、最後にはアップルパイの作り方まで出てきて、たしかに美味しいものを食べたくなっちゃう展覧会でした。
#帰りにスーパーでフルーツたくさん買ってしまいました🍎🍒🍉
ロー・ティーとハイ・ティー メモ📝
ロー・ティーは上流階級、後には中産階級にも広まった喫茶文化で、客間のローテーブルで提供されたことから、ロー・ティーと呼ばれる。
ハイ・ティーは労働者階級に発祥した喫茶文化で、仕事終わりに夕食と一緒に紅茶を飲む。ダイニングテーブルで提供されたことから、ハイ・ティーと呼ばれる。
英国キュー王立植物園 メモ📝
18世紀に宮殿併設の植物園として始まり、植物の品種改良などの研究が行われた。総面積は120ヘクタール(東京ディズニーランド2.3個ぐらいらしいです)の広大な植物園😳 世界遺産に認定されているそうです。
行ってみた〜い!