子供とテスト
教育現場の試験と、企業の試験はまったく別モノです。私は、マーケティング部門で営業マンやSEへの新製品トレーニングから教育の世界に入りました。まず製品が安定して稼働しないと営業マンは新製品を売りに行ってはくれません。ここでは製品の試験データが重要です。新製品のトレーニングを受けた後に、理解しているかのテストをします。テストの点数が低いときは、トレーニングの内容を見直します。半年後、製品の売れ行きが低い場合もトレーニングの効果があったか検証します。教える側は、試験結果から教え方や教材を改善します。環優舎をはじめて、子供たちが持ち帰るテストをみるようになって、教育現場の杜撰なテスト対応に驚きました。間違えを直して終わり。悪いままの点数で評価されます。結局この子が出来るようになったのか出来ないままなのかは不明なまま次に進みます。クラス全員の平均点はいくつだったんだろう? 試験が難しかったのか、教え方が悪いのか、この子の出来が悪いのかもわかりません。環優舎をはじめたころに6年間かかっていた市販の教材。今は3年間で終わらせられるようになりました。子供にわかりやすいように毎回、教え方をちょっと工夫して変えたのです。教える時間を長くしたり、一日の学習量を増やしたわけではありません。ご家庭では無理だけれど、毎週沢山のテストを子供にやらせている塾や学校はもっと工夫が出来るはずなのに...と思います。環優舎ではテストはしないけれど、私は子供たちが持ち帰ってくるテストをだいぶ参考にしました。テストは謎だらけです。英検の同じ級を何度も受験して、4回目で受かったとか言う子。過去問売っているのになんで落ちると分かっている検定を何度も受けさせるの?「英検の3級までは、記述式で文法や綴りが間違っていても合格できるから大丈夫」という情報に安堵する親。それ、漢字検定で「漢字は間違っているけれどどの漢字を書こうとしているかはわかるから合格させちゃえ」というようなものですがそれでいいんですか?「"実用"英語検定試験」は通じればいいという趣旨の試験なので多くの日本人にはそれで充分ですが、インター小に通わせていて英検を受る意図がよくよかりません。SSATとかCAT4とか参考にすべきテストは他に沢山あるのに。テストは重要ですがそれはPDCA(Plan, Do, Check, Act)をしっかりと循環させて実施する場合です。子供たちは十分な試験対策もないまま試験を受けさせられ、再試験もせずにつぎの試験に突入していくことに大人が疑問を感じないことに疑問です。娘はモンテッソーリ・スクールに通っていたので試験を受けたことがほとんどありません。モンテッソーリ・スクールに通う前に、私は校長先生のところにしつこく何度も通っていろいろな質問をぶつけました。今はモンテッソーリ教育は人気があるのでそんな親はお断りでしょうが、当時はモンテッソーリ幼稚園から小学校にあがる生徒が少なかったので、校長先生は根気よく私の質問に答えて、不安を払拭してくださいました。「試験なしで、どうやって子供の学力がわかるのか」というのが私の疑問でした。それに対する先生の答えは「試験なんて無駄だ。多くの試験はやりっぱなしだ。試験日程に合わせる勉強ばかりしていたら、勉強にならない。試験なんかしなくても子供をみれば子供が理解しているかしていないかはわかる。子供が理解できるまでやらせて、理解できたら進めばいい。それだけだ。モンテッソーリは、出来るようになるまで次にすすませないから普通の学校よりも厳しいけれど、落ちこぼれはないですよ。」ほんと、それ。子供をみればテストなんかしなくても分かっているかわかっていないか分かります。子供をみないとわからない。だから私は初めての子には簡単な学力テストをして、どこまで出来るか調べますが、その後は試験なんかしません。毎日勉強をみていれば何が出来て何が出来ないかは分かります。ギフテッドの子が楽しみながらポンポン級をあげていくならいいのですが、大多数の子は試験なんて受けずにコツコツ自分のペースで勉強を続けるほうが学習が進みます。試験は信号機のようなもの。信号機が少ないほうが早く遠くまで進めます。夜間は点滅信号になるなど適切に管理されていればよいのですが、無駄に交通を止めていることもあります。「テストがある!」と言われると今やっている勉強を中断して試験準備をするので、しょっちゅうテストがあるとその都度勉強が中断するのでテストをやらない子のほうがやがて学習がすすんでしまうのです。これが6年間になると大きな差がつきます。会社勤めをしているときに、私が良かれと思っていろいろ仕事をしているとmust以外のnice to haveは悪だと言う先輩がいて、すぐには理解できなかったのですが、今はそれがよくわかります。親は容易に勉強(勉を強いる)させないことです。よくよく考えて本当に必要なことだけを学ばせると無駄がない。小学生の学習範囲は基礎的なものだからPDR(Plan Do Review)のほうが効率がよいと私は思います。大してプラスにもならないような決め手に欠ける燃費が悪い勉強をしている子が結構いて、いちいち反対するほどでもないから質が悪い。人生には必要な試験があります。弁護士や医師、会計士、保育士、運転免許など能力と知識を有しているか確認するための試験、入学希望者が多数いる場合に選別するための試験。あるレベルまで出来ることを証明するための試験。自分の能力はどこまで出来るか力試しのような試験もあります。羊水検査と同様に、何のために受けるか、結果をどうするつもりなのかを慎重に考え、やみくもな受験は時間ドロボーになるのでやめたほうが賢明です。 検定試験 -- 目的に応じた閾値があり、合否を判定するもの。過去問やって対策すれば落ちようがないテスト。落ちるのに受ける? 到達度試験 -- 学んだことをどこまで習得したかを測るテスト。到達してなかったら責任は誰が何を改善する? 熟達度試験 -- 性能試験。クラス分けなどのためにどこまで能力があるかを測るテスト。結果を何に活用する? 選別試験 -- 入学や表彰のために優劣や順位をつけるためのテスト。倍率によって難易度が変わりがち。