先日、カムアウトした通り(祝!バイリンガル育児卒業宣言)、これからは堂々とバイリンガル教育を応援していきます。 早期英語教育の良さは、学齢期に教育の選択肢が増えることです。日本の国公私立学校はすべて文部科学省の学習指導要領に基づいた教育を行っています。子供が日本の学校教育制度に合わない場合や、家庭の教育方針と学校の指導方針が異なる場合でも他の選択肢は皆無です。そして、もしも義務教育を受けない場合はまるで罰ゲームのように多くの不利益を受け入れねばなりません。進学に必要な卒業資格が得られない、政府や自治体の助成金を受けられない教育機関は学費が高額かつ設備がショボい、通学時間帯にスクールゾーンのような安全が確保されない、各種学割が受けられない、学生対象の様々な企画や大会への参加資格が得られないことが多々ある、健康診断等が受けられない、任意教育団体の格付け機関がないので評判以外に教育内容を評価しづらい等々。純粋な学費以外にも自費で賄わねばならないことが沢山あり、すべてが自己責任です。それでも学習指導要領に拘らず膨大な選択肢の中から、我が子を伸ばしてくれる一校を選びたい人には英語はお薦めです。学習言語を英語にすれば単に通える学校の数が増えるだけではなく、選べる教育メソッドが飛躍的に広がります。伝統と格式を重んじるイギリスの学校から、のびのびとしたオーストラリアの学校、世界中のセレブが集まるスイスの学校のみならず、英語で授業をしている世界中の尖ったオルタナティブ・スクールから進学先を選べます。そのような学校を選ばずに子供に合わせてホームスクールをする際にも英語であれば様々な学習支援教材やサービスが充実しています。

 

大人が子供に教育を受けさる義務を果たすことを重視している日本と異なり、子供の学ぶ権利が確立している欧米には学習者目線に立った様々な教育があります。視覚優位、聴覚優位、識字障害といった学習特性のある子供に合わせた環境で学べる学校では、特別な教科書を使ったり、音や光への配慮がしてあり子供が学習に集中しやすい環境が整っていたり、特別なトレーニングを受けた教師が配置されたりしています。

 

日本ではずっと先まで予約が埋まっていて月に数回しか受けられない療育が、毎日受けられる幼稚園や保育園もあります。日本の障害児教育は質的にも量的にもまだ十分ではないので、知的障害をお持ちのお子さんを海外に残して泣く泣く帰国された方がいます。限られた能力でも最大限に伸ばしてやる機会を与えたいのは親として当然の願いです。テレビや新聞で満足な教育を受けられない途上国の可哀想な子供たちを見聞きすることがありますが、先進国としてはお粗末な日本の現状も似たようなものです。

 

GATE (Gifted and Talented Education) programも特殊教育の一種です。日本の学校でもADHDやLD児への補助教員の加配は進んできましたが、LD児らと同様に母集団の標準に納まらない成績優良児への対応は何もされていません。生徒が100人いたらだれかがトップ2.5%と底辺2.5%に入ります。保育をしていると子供の成長には個体差があるので特別なことをしなくても学齢の-1年~+2年ぐらいの差を感じます。±2年ではなく下が-1年なのはもともとの指導要領が全員がクリアできるよう平均より低めのゴール設定になっていることと、集団教育で底上げをしているからです。もともとのゴール設定が低めだから、上は+2年超という子が出てきてしまいます。そこでGATEは通常同年齢集団のトップ5~6%の子供を対象としています。 アメリカ人のママに「アジア人はみな学業優秀だけど、授業が簡単すぎてつまらない子は日本の学校ではどうしているの?」と聞かれて、「学力別編成学級なし、飛び級なし、先取り禁止だから、なんとか我慢して退屈をやり過ごすか不登校になる」と言ったらドン引きされました。日本には「どんなに頭が良くても授業をきちんと聞かない子はいずれダメになる」という伝説があります。そりゃ、そうでしょう。大人だって毎日が死にそうに退屈でそれが卒業まで何年も続き不可避だとわかったら絶望でやる気がなくなります。そうした子がダメにならないようにGATE programがあるのです。

 

特殊教育以外でも、英語が出来れば規律を重んじるミリタリスクール、古典的なグラマースクール、バレエスクール、世界中を旅しながら学ぶ学校、スポーツ専門校、子供にすべてを任せた超デモクラティックな学校....ありとあらゆる学校へ進学することができます。

 

今日は日本に住んでいても参加できるオンラインのGATE Programとその特徴を紹介します。Gifted and Talantedの定義は様々ありますが、ほとんどのプログラムが学力試験でトップ5%に入っていることを参加の目安としています。受講資格を得られれば、オンライン講座だけでなく、サマーキャンプや長期休暇に各地で開催されるフィールド・トリップに参加することもできます。

 

Johns Hopkins Center for Talented Youth (CTY)

https://cty.jhu.edu/ 

Grade 2 ~ Grade 12 対象。CTY指定の各種テストの中のどれかを受験し、高得点を得られるとCTYプログラムの受講資格が得られます。試験は日本国内のテストセンターで受けられます。受講資格は数学系と文学系に別れており、両方受講するためには算数も英語も高得点を取らないとなりません。上級学年で学ぶ科目を先取りして学んだり、通常1年かかるコースを半年で履修することができます。

日本ではEducation BeyondがJohns Hopkinsの対面コンテンツを開催できるよう準備中です。

2022年6月には保護者向けにAdvanced Learnerに関するオンライン・イベントが予定されています。

 

Northwestern University Center for Talent Development (CTD)

https://www.ctd.northwestern.edu/

4歳 ~ Graade 12 対象 4歳児のコースはテストなく誰でも受けられるそうです。その後は学力テストのスコアが必要です。CTDはコースの選択肢が多く、難易度が高いHonor CourseやAP以外の授業もあるので単に上級学年の授業も取れます。幼児教室のように受験という目標を達成するためのコースではありません。このコースを受講していたらトップ5%に入れるのではなく、5%の子が入るコースだということを理解していないと親子とも不幸です。

 

Stanford Online High School (OHS) 

https://onlinehighschool.stanford.edu/

Grade 7 ~ Grade 12 対象。オンラインの中学・高校プログラムです。SSAT/SAT等の試験結果や、エッセイ等の願書を揃えて提出し、合格したら入学が許可されます。OHSの卒業証書をもらえる正科生のコースの他、1科目コース、3科目コースもあります。地元の中高に通いながら1科目だけ受講したり、ホームスクールをして3科目だけ受講するといった利用の仕方が出来ます。OHSはオンライン学校なので、英語・数学・理科・社会といった中高で学ぶ学科の授業がありますが、授業内容は大学レベルです。(取得単位を認めてくれる大学もあります。)

 

The Duke University Talent Identification Program (Duke TIP) 

https://tip.duke.edu/

Grade 4 ~ Grade 12 対象。標準テスト、IQテスト、SAT/ACT等のスコアで受講可能か否かが判断されます。中学校や高校では学べない専門分野のコースを受講できます。Duke TIPのブログGifted Todayにはギフテッドの子育て相談や最新の研究結果などがあり参考になります。

 

Vanderbilt Programs for Talented Youth (PTY) 

https://pty.vanderbilt.edu/

K~ Grade 12 対象。Vanderbilt大学の教育学部が2000年より開始しているプログラム。通年とサマースクールがあります。オンサイトの幼児対象の週末プログラムがあったり、科目の勉強だけでなくメンタリングを通じた探求型のコースが充実しているのが特徴的です。

 

受講資格を取らなくてはならないコース以外にもKhan Academyのように自分のペースでどんどん進められるオンライン教材は沢山あります。Khan Academyは高校のAPコースまであるので独学でどんどん進められるお子さんにお薦めです。友人のお子さんは小学生の時にKhan Academyにハマって数学を全部終えてしまい、中学生になってた今は大学院レベルの数学をされています。

 

一口にGifted Educationと言っても、学習速度が速い子向け、より深く学びたい子向け、専門分野の勉強を早く始めたい子向けなどいろいろあります。 日本ではどんなに勉強ができても進学塾で最難関クラスに入れられ、新しいことを学ぶよりも決められた試験範囲を念入りに学ぶばかりというのは大変勿体なく思います。日本のトップの才能を集めておきながら受験勉強をさせている塾にも、そういう状態を生むような試験を課している進学校にも、それを仕方がないと割り切っている親にも怒りを禁じ得ません。

 

ヨーロッパの小国には人口が少ないため、自国語の子供向けのコンテンツが少ないから、止むを得ず子供の英語が上達してしまうという国もあります。日本も教育の多様化を進めていますが、少子化が進行している中でどれだけ多様な学校を作れるかは疑問があります。子供の成長は待ったなしですし、世界の教育技術は日進月歩です。英語が出来れば、GATE programに限らず、お子さんに合わせた様々な教育の選択肢があります。閉塞感がある日本の教育環境から抜け出すための英語はアリだと私は思っています。